架台内の雰囲気温度の上昇による影響を検証する:実例で学ぶステップアップ設計者CAE(8)(2/3 ページ)
初心者を対象に、ステップアップで「設計者CAE」の実践的なアプローチを学ぶ連載。詳細設計過程における解析事例を題材に、その解析内容と解析結果をどう判断し、設計パラメータに反映するかについて、流れに沿って解説する。第8回は、架台内の雰囲気温度の上昇による影響を検証する。
3.架台の熱流体解析
架台の熱流体解析を行う前に、架台内の熱の伝わり方を模式化します。
熱流体解析の実施に必要な“流体の領域(閉じた空間)”を設定するため、架台の外周に金属製の側板を設置したモデルに変更しました。
熱流体解析を使用して固体間の熱伝導と対流、輻射を考慮した解析行います。解析を行う際、より影響のある状態で考えることは、最悪ケースを想定する上で有効です。この事例での最悪ケースとは、周囲に対して輻射の影響が生じるという状態です。強制対流によって解析結果に影響がある場合を除き、輻射は考慮すべきとの意見も耳にします。
ただし、輻射の設定を加味した解析では、材料の材質や加工状態により、放射率が未知である場合もあるので、解析結果の妥当性検証は必要になると考えます。その際、放射率を実験で自ら求めることは非常に困難であるため、文献などを参考にすることをオススメします。
なお、SOLIDWORKS Flow Simulationでは、解析の前処理で輻射を設定すれば、デフォルトで黒体(完全放射体)として輻射が自動計算されます。ツールを使用する際はこうした機能の理解も必要です。
解析結果を見てみます。架台に開口部を設けたのみで、強制的な排気を行っていないため、架台内の空気の流れは、熱源より上昇する流れであるものの架台内で滞っていることが分かります。
この結果から、装置の架台にファンによる強制吸排気を設けることを検討します。必要風量については電装盤に設置されるモータードライバの発熱量などを参考に選びます。
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