生産現場のネットワーク通信を高速、低遅延で無線化するコンバーター:組み込み開発ニュース
コンテックは、NECと共同開発した汎用メディアコンバーターを発表した。コンテックの端末技術とNECの無線通信技術「ExpEther無線IPコア」を融合させたもので、複数の電波を用いた独自の符号化方式により、高速、低遅延で安定した通信ができる。
コンテックは2020年12月10日、NECと共同開発した汎用メディアコンバーターを発表した。コンテックの無線通信端末技術とNECの無線通信技術「ExpEther(エクスプレスイーサ)無線IPコア」を融合させたもので、2021年3月から受注を開始する。
ExpEther無線IPコアを搭載したことで、複数の電波を用いた独自の符号化方式を使って、高速で遅延の少ない、安定した通信ができる。また、状態が変わる複数の周波数帯の中から、性能が良い無線規格を選び出して使用できる。
同コンバーターの特徴として、有線LAN通信アプリケーションおよびデジタル信号の無線化、Ethernetフレーム転送などがある。
有線LAN通信アプリケーションの無線化では、PROFINETやEtherNet/IP、CC-Link IE Field Basicといったさまざまなプロトコルに対応。デジタル信号の無線化では、親機と子機の間で入力4点、出力4点をVirtual Wire転送する。Ethernetフレーム転送では、有線Ethernetと無線Ethernetとの間でMACアドレスを学習することで、Ethernetフレームのブリッジ動作が可能となっている。
また、ESSIDや暗号設定といった複雑な設定をしなくても、安全な無線通信が可能で、設置方法も据え置き、壁やDINレールへの取り付けなど自由度が高い。FA機器により電波が反射したり減衰したりするような環境でも、電波干渉の少ないDECT規格によって通信を維持できるため、信頼性が求められる信号の伝送にも適する。周囲温度は−20〜+60℃で、多様な環境で使用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 工場用のイーサネットって何だろう?
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第2回ではイーサネットとは何かを紹介します。 - いまさら聞けないPROFINET入門
イーサネットベースの産業用ネットワークである「PROFINET(プロフィネット)」をご存じでしょうか。工場の高度化が進む中、工場ネットワークのオープン化は加速しており、オープンネットワークであるPROFINETの利用範囲は拡大を続けています。本稿では、PROFINETとは何かを分かりやすく解説し、その強みに迫ります。 - 工場のIoTデバイスをリアルタイムに制御する無線ネットワーク技術を開発
NECは、製造現場のIoTデバイスを、無線環境でリアルタイムに遠隔から集中制御するネットワーク技術を開発した。工場のような電波の反射・減衰などが起こりやすい環境でも、安定した無線ネットワーク接続が可能になる。 - 産業用ネットワークでのTSNの価値をアピール、ワイヤレス対応も――CC-Link協会
CC-Link協会は、ハノーバーメッセ2019(2019年4月1〜5日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、産業用ネットワークの業界団体としていち早く市場投入を表明したTSN対応規格「CC-Link IE TSN」の価値を訴えた。また、将来的な産業用ネットワークの発展を見据え、ワイヤレスへの対応技術なども紹介した。 - 24時間連続稼働を想定したハイパフォーマンスFAコンピュータを発売
コンテックは、24時間連続稼働を想定したハイパフォーマンスFAコンピュータ「VPC-5000」シリーズの受注を2020年10月1日より開始する。第9世代のインテルXeon Eプロセッサ、Coreプロセッサに対応する。 - IO-LinkマスターでEtherCATに追加対応、5種のイーサネットプロトコルに対応
コンテックは、マルチプロトコル対応CONPROSYS IO-Linkマスター「CPSL-08P1EN」がEtherCATに追加対応になったと発表した。5種の産業用イーサネットプロトコル対応となり、ネットワークとIO-Linkデバイスとのデータ通信の幅が広がる。