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中小製造業にこそ求められる付加価値創造、“望ましい循環”を生み出すポイント2020年版中小企業白書を読み解く(3)(6/8 ページ)

中小企業の現状を示す「2020年版中小企業白書」において中小製造業も含めた中小企業にとっての「付加価値」の創出の重要性や具体的な取り組みについて3回に分けて考察する本連載だが、最終回となる今回は企業が生み出す「付加価値」の最大化について、付加価値の「創出」と「獲得」の両面から具体的に見ていきたい。

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付加価値の「獲得」に向けた2つの取り組み

 中小企業白書2020は、企業が実際に付加価値を獲得していくためには、優位性により「創出」した価値を「価格」に反映し、収益化していくことが重要だと指摘する。付加価値の獲得については、「適正な価格設定」と「取引関係の構築」の2点を挙げている。

付加価値の獲得に向けた適正な価格設定

 図27は、自社の主な製品・サービスの優位性について、競合他社と比較して「大きく優位」又は「やや優位」と回答した企業(以下、優位性の有る企業)に対して、その優位性が価格に十分に反映されているかを確認したもの(以下、優位性の価格反映状況)だが、これを見ると、競合他社と比較して製品・サービスに優位性を有する企業の中にも、優位性が価格に十分に反映されていない企業が約半数存在することが分かる。

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図27:優位性の有る企業における、優位性の価格反映状(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020

 中小企業白書2020では、企業が販売価格を設定する際に考慮すべき視点として下記の3点を挙げており、これらのうち最も重視している視点別に企業を類型化している。

  1. コストを回収し、一定の利益を確保できる価格に設定する
    (自社がいくらで売りたいか)
  2. 業界平均や競合他社の価格を参考に設定する
    (いくらで売られているか)
  3. 顧客に受け入れられる価格に設定する
    (いくらまでなら買ってもらえるか)

 (1)を最も重視している企業を「コスト起点型」企業、(2)を最も重視している企業を「競合起点型」企業、(3)を最も重視している企業を「顧客起点型」企業として分析を行っている。優位性の有る企業における価格設定類型の分布について見ると、「コスト起点型」企業が約6割と最も多いことが分かる。また、B2C企業ではB2B企業に比べて相対的に「顧客起点型」企業が多いことが分かる(図28)。

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図28:価格設定に当たり最も重視する視点(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020

 価格設定を考えるに当たっては、「顧客への優位性の発信」「価格競争に参加しない意識」「個々の製品・サービスごとのコスト把握」のいずれの視点も重要になるが、どの視点を重視しているかによって、優位性を価格に十分に反映するために必要な意識や取り組みの状況に違いがあるとしている(図29)。

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図29:優位性を価格に反映するために必要な要素と、価格設定類型別の実施割合(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020

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