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生産性の低い企業は退出へ、中小企業の新陳代謝と見えてきた多様性2020年版中小企業白書を読み解く(2)(1/5 ページ)

中小企業の現状を示す「2020年版中小企業白書」において中小製造業も含めた中小企業にとっての「付加価値」の創出の重要性や具体的な取り組みについて3回に分けて考察する本連載。第2回は中小企業の労働生産性や新陳代謝、中小企業の多様性について紹介する。

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 経済産業省 中小企業庁は2020年4月に「2020年版 中小企業白書」(以下、中小企業白書2020)を公表した。本連載では中小企業白書2020を基に、中小製造業も含めた中小企業にとっての「付加価値」の創出・獲得の重要性や具体的な取り組みについて3回に分けて考察する。

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 第1回の「中小企業を取り巻くリスクと新型コロナウイルス感染症の影響」では、中小企業の業績動向や人手不足感などの現況、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が中小企業にもたらした影響について確認した。第2回では、中小企業の労働生産性や新陳代謝、中小企業の多様性について見ていきたい。

中小企業の労働生産性は横ばい

 本稿の第1回でも触れたように、2016年の調査によれば中小企業数は日本の全企業359万社のうち99.7%を占めており、中小企業の従業者は全体の約70%、付加価値は全体の約53%を占めている(図1)。将来的に人口減少が見込まれる中、日本経済のさらなる成長のためには、大多数を占める中小企業が労働生産性を高めることが重要となる。

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図1:全企業における中小企業の割合(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020

 しかし、企業規模別に従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)を見てみると、大企業はリーマンショック後に大きく落ち込んだ後、緩やかな上昇傾向で推移している一方で、中小企業については大きな落ち込みはないものの、業種に関わらず長らく横ばい傾向が続いている。大企業との差が徐々に拡大している状況だ(図2)。

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図2:企業規模別従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020

 これについて、労働生産性の構成要素である機械や設備への投資の程度を表す資本装備率を見ると、製造業・非製造業ともに大企業と中小企業の格差が大きく、労働生産性の規模間格差につながっていると考えられる(図3)。

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図3:企業規模別・業種別の資本装備率(クリックで拡大)出典:中小企業白書2020
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