不二工機の中国法人が日立の製造管理システムを導入、トレーサビリティーを強化:製造IT導入事例
冷凍・空調用自動制御機器大手の不二工機の中国法人である蘇州不二工机有限公司(蘇州不二工机)と日立製作所(日立)は2020年11月16日、協創を通じて、製品トレーサビリティー強化とサプライチェーン連係を実現するスマートな高効率生産システムを構築し、同年10月から稼働を開始したと発表した。
冷凍・空調用自動制御機器大手の不二工機の中国法人である蘇州不二工机有限公司(以下、蘇州不二工机)と日立製作所(以下、日立)は2020年11月16日、協創を通じて、製品トレーサビリティー強化とサプライチェーン連係を実現するスマートな高効率生産システムを構築し、同年10月から稼働を開始したと発表した。
今回のシステム構築は、蘇州不二工机のエアコン用自動制御機器の製造工場(江蘇省蘇州市)が対象となった。日立の子会社である日立解決方案(中国)有限公司(以下、日立解決方案)が、日立のデジタルソリューション「Lumada」の製造管理システム「FactRiSM(ファクトリズム)」を導入することで製品トレーサビリティーの大幅な強化を実現した。
これまで蘇州不二工机では、作業員が紙に作業実績を記録していたため、トレーサビリティーを行うのに多くの時間を要していた。今回のFactRiSMの導入によって、製造ロット単位で現品票をバーコードリーダーで読み取るなどして管理するとともに、製造現場のIoT(モノのインターネット)化により使用部品のロット、生産ラインや生産シフトなどの4M(huMan:人、Machine:設備、Material:材料、Method:方法)データについてリアルタイムかつ正確に電子データとして管理できるようになった。
これにより、従来の紙による記録管理と比べて、製品不具合発生の際に製品のトレースバックとトレースフォワードを瞬時に行えるので、原因究明と波及範囲の絞り込みを迅速化できる。また、不備が発覚した原料ロットをロック状態にするインターロック機能などを備えているので作業ミスの防止につなげられる。製造現場の4Mデータを活用して、ISO22400に準拠した総合設備効率(OEE)などの分析を行う機能も有しているので、それらを基にした改善施策の立案と実行、生産性向上も実現できる。生産進捗のリアルタイムな見える化も可能になるという。
蘇州不二工机はこれまでも、生産管理システム「WEBSKY」や購買電子取引サービス「TWX-21 Web-EDI Global」、倉庫管理システム「ONEsLOGI」(日立物流ソフトウェア)など日立グループの基幹システム、周辺システムを2004年から順次導入し、システムを拡張している。今回導入したFactRiSMによって収集・蓄積する製造現場の部品出庫、加工、組立、検査ラインにおける4Mデータは、WEBSKYの作業計画データおよび顧客への製品販売データ、TWX-21 Web-EDI Globalの調達先からの購入部品のロットデータ、ONEsLOGIの部品入出庫データなどとも連携している。これによって、製造現場と調達、生産、販売までのサプライチェーンが相互につながり、よりリアルタイムに事業全体の進捗状況やボトルネックなどの見える化が図れ、市場起点での迅速な経営判断と製造現場への反映が可能になるとしている。
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