JR東日本子会社がソラコムのAIカメラで、実店舗PoCを短期間で実現できた理由:エッジコンピューティング(1/2 ページ)
ソラコムは2020年11月17〜19日にかけて、同社技術やデバイスを用いた開発手法などを紹介する技術カンファレンス「SORACOM TECHNOLOGY CAMP 2020」を開催中だ。本稿ではソラコムのAIカメラ「S+ Camera Basic」を用いて店内人数カウントソリューションのPoCを実施したユーザー事例紹介セッションを抜粋してお届けする。
ソラコムは2020年11月17〜19日にかけて、同社技術やデバイスを用いた開発手法などを紹介する技術カンファレンス「SORACOM TECHNOLOGY CAMP 2020」を開催している。その中から本稿では、ソラコムのAI(人工知能)カメラ「S+ Camera Basic(サープラスカメラベーシック)」を用いて、店内人数カウントソリューションのPoC(概念実証)を行ったJR東日本情報システムのユーザー事例紹介セッションを抜粋してお届けする。
デバイス開発の手間なく「電源入れたらすぐ使える」AIカメラ
S+ Camera Basicは「電源をつなげばすぐに稼働するカメラソリューション」をコンセプトに開発された、ソラコムのセルラー回線を搭載するエッジAIカメラである。2020年7月の一般販売開始以来、東京都の原宿エリアにおける交通量調査や、工場内にある棚の文字列検知やスコアカード検知といった多岐に亘る用途で活用されている。
本体サイズは直径86×高さ187mmで、重量は274g。AI処理基盤にはRaspberry Pi 4を採用した。カメラは800万画素の性能を持っており、撮影画角は水平方向が62.2度で垂直方向では48.8度である。推奨動画解像度/フレームレートは1280×720pxと13fps。設置するための取り付け器具(マウンター)は、アクションカメラ「GoPro」と同型の汎用型マグネットマウンターの他、吸盤型、ネジ固定型と幅広く対応する。
最大の特徴は製品導入の容易さだ。セルラー回線を搭載しているため、電源アダプターをコンセントに差し込んで起動すれば、外部のPCからAIアルゴリズムなどのデプロイや、カメラの各種制御がすぐに行える。導入初期から使えるサンプルアルゴリズムも顔検出や物体検出、文字読み取りなどと豊富に用意しており、アルゴリズム開発の手間を省力化する。
ソラコム S+ Cameraプロジェクトマネージャー 齋藤洋徳氏は「S+ Cameraを使えばAI開発者は、デバイス開発の手間なくアルゴリズム開発に専念できる。利用者にとっては、必要なアルゴリズムをシチュエーションに応じて都度選択できる点がメリットだ。現在は利用可能シーンの拡大に向けて、外部デバイスとの連携強化などを通じたカメラ性能の強化を図っている。例えば、赤外線LEDを搭載した防水仕様のUSBカメラを接続すれば夜間、屋外での使用にも対応する。この他、外部演算装置としてGoogle Coral Edge TPU USB AcceleratorをUSB接続することで、映像内の物体認識性を向上させることも可能だ」と説明する。
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