「最も採用したい一人」になるための、面接のポイント:モノづくり業界転職トレンド(26)(1/2 ページ)
採用のハードルが上昇する中、自分の強みや熱意を直接伝えられる「面接」が非常に重要になっている。面接において、企業側の視点や通過するために準備すべきことなどについて、転職コンサルタントに話を聞いた。
米中貿易摩擦やコロナ禍の影響で、採用ハードルが上昇していることはこれまでもお伝えしてきたが、自分の強みや熱意を直接伝えられる面接が非常に重要なのは、言うまでもない。そこで今回は面接にフォーカスし、企業側の視点、通過するために準備すべきことなどについて、自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイック 人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャー 関寺庸平氏に聞いた。
他の候補者との競争が激しくなっている
直近の転職市場の雰囲気について、関寺氏は「コロナ禍の影響は拭えないものの、悲観ムード一辺倒ではなくなっている」と言う。人手が足りないという現場の実情を背景に、業績の良し悪しにかかわらず、採用に対する意欲はあるということだ。
しかし、企業側の慎重な姿勢は依然として変わらない。厳しい経営状況はしばらく続くことが予想される中、投資にメリハリを付ける動きと連動して、採用枠の有無や採用規模も、会社、事業部によってそれぞれ異なる。「募集しているポジションの数は以前と同じでも、1つのポジションに用意されている募集枠は少ない」と関寺氏は現状を説明する。
募集枠が少なければ、面接通過率は下がる。「面接の通過率を昨年と比較すると、一次、二次、最終とも、それぞれ10ポイントずつ低下しているようなイメージ」と関寺氏。転職のチャンスはあるが、他の候補者との競争が激しくなっており、「最も採用したい一人」を目指すくらいの心構えが必要になっているのだ。
キャリアのストーリーを描く、深堀りする
面接に臨むにあたり、どんな準備をしておくべきなのだろう。
まず、「なぜ今の仕事を選んだのか」「なぜ転職するのか」「転職以外に現状の改善の余地はないのか」「将来どういう姿を目指しているのか」といった質問に対して、つじつまの合っている回答ができなければならない。一つ一つの質問に対する回答を準備するのはもちろんだが、自分のキャリアのストーリー全体をしっかり描いておく必要がある。
転職する理由として「今後が不安」という方は多いと思うが、単に「不安」というだけでは、転職理由として不十分だ。具体的に「何が」不安なのか。会社、業界、社会情勢、人間関係など、それぞれに不安の要因があり、その不安を解消することで何かを求めているはずだ。つまり、感情的に不安というだけでなく、事実やデータも使って不安要因を説明し、転職によってどういう状態になりたいのかを示す必要がある。
またこれまでは、直近の経験を重視して、それを生かせる転職先を探すのがスタンダードだったが、現在は同じ業界、あるいは似ている業界だけでは転職先がないことも想定すべきだろう。なぜなら業界内は、どの企業も同じような状況だからだ。
となると、職務経歴書でも、面接でも、他業界の人が見て「この人の技術、スキルを使いたい」と思ってもらえるようにする必要がある。過去の連載では「スキルの棚卸しをすべき」ということも紹介したが、今は単なる棚卸しだけでは足りない。関寺氏は「もう一段階深堀りして、その経験の『要素』は何か、その要素はどんなことに生かせるのか、転用できるのか、その企業のどういうことに貢献できるのか、ということまで深く分析しておく必要がある」と話す。
付け加えると、相手企業のニーズによって、同じ経験の要素でも転用、活用の仕方は異なる。つまり、職務経歴書も面接の準備も、企業ごとに変えるといった綿密さも求められるのだ。
しかし、よく知らない業界で、自分の経験がどう転用できるのかを1人で見いだすのは難しいだろう。他業界への転職経験者や、エージェントに相談すると、自分の新たな可能性に気付けるのではないだろうか。
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