サプライチェーンを妨げる「認知バイアス」はどうすれば排除できるのか:製造業DXの鍵−デジタルサプライチェーン推進の勘所(6)(3/3 ページ)
サプライチェーンにおける業務改革を推進する中で、デジタルがもたらす効果や実現に向けて乗り越えなければならない課題、事例、推進上のポイントを紹介する本連載。最終回の第6回は、サプライチェーンにおける人間の意思決定の精度に影響する「認知バイアス」と、その影響や対策について解説する。
デジタルサプライチェーンの実現に向けて
本稿で最終回となるが、連載の締めくくりとして、これまでのポイントをまとめる。
本連載では、以下の6点について、特に「なぜ、何を、どのように」という論旨の下で重点的にお伝えしてきた。
- なぜサプライチェーンのデジタル化が必要なのか(連載第1回)
- 日本の製造業におけるサプライチェーンデジタル化の課題は何か(連載第2回)
- SCMにおける本質的DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か(連載第3回)
- SCMにおけるDX推進事例を通した狙いと具体的取り組み内容(連載第3回、第4回)
- 目指すべきデジタルサプライチェーンモデルと、それに必要となる要素(連載第4回、第5回)
- サプライチェーン意思決定に影響する人間のバイアスと、それを回避または緩和する施策、推進ポイント(本稿)
SCMの難しさは、モノや物流、販売チャネルの多用性だけではなく、多くの企業や組織、人を情報でつなぎながら、環境変化に対応した意思決定をしなければならないところにある。この意思決定の質とスピードを上げる手段の一つが、デジタル化であり、デジタルテクノロジーの活用なのである。
日本の製造業におけるSCMは旧態依然であり、特に重要となる業務領域を超えて情報を「つなぐ」こと、改革に取り組むことに関して、非常に壁が高いのが実情である。しかしながら、このまま取り組みに着手しなければ、企業運営、ひいては日本製造業の国際競争力に致命的な影響を与えかねない。各企業においては、自社の成長のために少しずつでもデジタルサプライチェーンを実現させることが肝要であり、本連載がその一助になれば幸いである。
(連載完)
サプライチェーン革新セミナーにクニエ宍戸氏と笹川氏が登壇!
MONOistが2020年12月16〜17日に主催するライブ配信セミナー「サプライチェーンの革新 〜Withコロナ時代に必要不可欠なサプライチェーンのデジタル化〜」で、本連載を執筆したクニエの宍戸徹哉氏と笹川亮平氏が講演を行います。本連載で解説した“デジタルサプライチェーン推進の勘所”を凝縮した特別講演は、12/17(木)13時からライブ配信する予定です。無料で参加できますので、ぜひご視聴ください!
⇒ライブ配信セミナー「サプライチェーンの革新 〜Withコロナ時代に必要不可欠なサプライチェーンのデジタル化〜」の参加申込はこちらから
筆者プロフィール
宍戸徹哉(ししど てつや) クニエ シニアマネージャー
大手国内システムインテグレーターにてSCM関連システム構築に従事し現職。ハイテク・エレクトロニクス、自動車、ヘルスケア、非鉄金属、建設、化学、製薬業界など、サプライチェーン分野のコンサルティングに従事。
主に、SCM/S&OP業務改革、組織改革、ITを活用した改革構想および導入を担当している。
筆者プロフィール
笹川亮平(ささかわ りょうへい) クニエ マネージングディレクター
ハイテク機器、自動車など組み立て系、プロセス系製造業の企画構想から定着化まで生産管理、在庫管理、需給管理を中心としたSCM/S&OP業務改革、ERP/SCP構想策定および導入コンサルティングに従事している。
編著に「“数"の管理から“利益"の管理へ S&OPで儲かるSCMを創る!」がある。
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