高速3Dビジョンセンサーを搭載したフラットケーブル挿入作業自動化システム:FAニュース
クラボウは、フラットケーブルの挿入作業を自動化する「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」を発表した。高速3Dビジョンセンサー「KURASENSE」を搭載し、これまで困難だった挿入作業の自動化を推進する。
クラボウは2020年10月19日、フラットケーブルの挿入作業を自動化する「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」の受注を開始した。価格は2000万円から(税別)。2024年度に10億円の販売を目指す。
セイコーエプソン(エプソン)と協力して開発したもので、自社開発のロボット用高速3Dビジョンセンサー「KURASENSE(クラセンス)」を搭載。タブレットやPCなどの組み立て作業を自動化し、生産性や品質の向上、非接触の製造現場への推進に貢献する。
同社はこれまで培った高速画像処理技術と3D計測技術を生かし、柔軟物や不定形物の認識を可能とする3DビジョンセンサーKURASENSEの開発を進め、2020年にケーブル認識用に特化した「Kurasense-C100」を完成。Kurasense-C100にエプソン製の産業用多関節ロボットおよび力覚センサーを組み合わせることで、コネクターへフラットケーブルを高速かつ正確に挿入できるシステムを開発した。
このシステムでは、Kurasense-C100がフラットケーブルの3次元形状を高速に計測し、ロボットに把持位置および挿入ポジションを指示する。力覚センサーがミクロン単位の誤差を微調整し、ロボットがフラットケーブルをコネクターへ挿入する。
事前の形状登録は不要で、KURASENSEの独自アルゴリズム処理がフラットケーブルの形状を瞬時に認識し、ロボットに的確な作業指示を出す。また、カラーセンサーによる対象物の色の識別も可能で、ケーブルの色によって異なるハンドリングの制御にも対応する。
同社は今後、電線、ハーネス、コネクター付きケーブル、光ファイバーなどへの対応や、緻密で高精度な作業が可能な自動化システムの開発に取り組むとしている。
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