最新版「SOLIDWORKS 2021」の注目ポイント、そして“コネクテッド版”も登場:CADニュース(2/2 ページ)
ソリッドワークス・ジャパンは、オンライン記者説明会を開催し、2020年11月2日から販売開始する「SOLIDWORKS 2021」の新機能および、SOLIDWORKSの設計開発環境にさらなる拡張性をもたらす「3DEXPERIENCE WORKS」の概要を発表した。
“コネクテッド版”SOLIDWORKSがついに登場
続いて、同社 営業技術部 部長の赤代政宏氏が、SOLIDWORKSの設計開発環境にさらなる拡張性をもたらす3DEXPERIENCE WORKSの概要を説明した。
3DEXPERIENCE WORKSとは、一言でいうと、クラウド上のプラットフォームを活用し、製品開発全般に携わる全ての関係者とのコラボレーションを実現する次世代のモノづくり環境を提供するものである。「3DEXPERIENCE WORKSは、SOLIDWORKSによる使い勝手の良い設計環境に、クラウド上の『3DEXPERIENCEプラットフォーム』のメリットを生かしたコラボレーション環境と、ダッソー・システムズの高度なソリューションや機能群を、SOLIDWORKSユーザーの使いやすいサイズ感で利用できる拡張性をもたらす」(赤代氏)。
3DEXPERIENCE WORKSのポートフォリオは大きく、「デザイン&エンジニアリング」「シミュレーション」「ガバナンス」「セールス&マーケティング」「マニュファクチャリング」の5つのドメインに分けられる(※1)。
※1:「セールス&マーケティング」の製品ポートフォリオは今度展開予定で、「マニュファクチャリング」については現時点での国内展開は未定となっている。
3DEXPERIENCE WORKSでは、業務やタスクをこなすために必要な機能を「ロール」と呼ばれる単位で定義し、その中に関連するアプリケーションがひも付いている。例えば、デザイン&エンジニアリングにおいては、Webブラウザベースのパラメトリックモデリングツール「3D Creator」、Sub-Dモデリングツール「3D Sculptor」、3DEXPERIENCEプラットフォームへの接続を前提とした「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」などがロール(=製品)として展開されている。
この3DEXPERIENCE SOLIDWORKSとは何かというと、3DEXPERIENCEプラットフォームに対応した“コネクテッド版”SOLIDWORKSのことである(PCへのインストールは必要)。はじめから3DEXPERIENCEプラットフォーム/3DEXPERIENCE WORKSの恩恵を享受できる環境という位置付けで、一部を除き、基本的にはデスクトップ版のSOLIDWORKSと同等機能を有している。
3DEXPERIENCE SOLIDWORKSは、デスクトップ版SOLIDWORKSと同様に「Standard」「Professional」「Premium」の3つのグレード(ロール)があり、製品提供の構成としては、「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS Standardオファー」「同 Professionalオファー」「同 Premiumオファー」の3つで展開され、ぞれぞれに含まれるロールが異なる。提供については、サブスクリプション方式を採用。四半期ごと、年間での契約が可能だという。
記者説明会では、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSの活用事例として、アクションスポーツのための人工装具や義足を開発する米BioDaptの取り組みを紹介。3DEXPERIENCE SOLIDWORKS Professionalオファーを導入し、義足開発のワークフローに、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSオファーが提供する各ロールのアプリケーションを活用する。
具体的には、3DEXPERIENCEプラットフォーム上のコラボレーションツール「3D Swym」で関係者とのコミュニケーション/コラボレーションを実現し、Webブラウザベースの3D Creatorでパーツ(デモではリンク機構部品)を設計、それをSOLIDWORKS上の3Dモデルに取り込む。さらに足の甲部分の曲面形状を3D Sculptorで設計し、同じくSOLIDWORKSに統合して、最終的に「Visualize Connected」でレンダリングするという一連の作業を実現している。
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