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スマート化で“空洞化”を埋める、カシオ計算機が描くモノづくり力の復活製造業×IoT キーマンインタビュー(3/4 ページ)

カシオ計算機では、モノづくり全工程の「スマート化構想」により、社内におけるモノづくり力の再強化に取り組む。なぜ「スマート化構想」を推進するのか。どのような取り組みを行っているのか。同プロジェクトを統括するカシオ計算機 執行役員で生産本部長の篠田豊可氏に話を聞いた。

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工場の自動化やスマート化もさらに加速

MONOist 工場内の自動化やスマート化についてはどう考えていますか。

篠田氏 工場のモノづくりもデジタル技術などを含めた先進技術を投入しさらに変革を進めるつもりだ。2017年にタイの関数電卓工場で自動化生産ラインを立ち上げた他、2020年9月には山形カシオでも関数電卓の自動化ラインを稼働させた。また、山形カシオでは2018年8月からデジタル腕時計の自動生産ライン、2019年にはデジタル楽器の自動組み立てを開始するなど、自動化領域の拡大に取り組んでいる。

 「自動化ライン」のような大きなものでなく、細かいところでデジタル技術の活用や自動化を地道に進めている。例えば、品質の安定化を図るためにデジタル楽器の異音をAIで検査する自動検査装置を開発し、導入を開始した。

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自動で88鍵を打鍵する音質不良検査機(クリックで拡大)出典:カシオ計算機

 これは電子ピアノの鍵盤の異音発生を検査するものだ。従来は熟練技術者が部屋で鍵盤を1つ1つ弾いて聞き分けて判定していたが、新たに自動で88鍵を打鍵し、その波形データをディープラーニングにより繰り返し学習し、異音を分類するシステムを開発した。異音時の正答率は99.6%となり、異音をほぼ見つけ出すことが可能となり、作業者の負荷を大きく低減できている。

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電子ピアノの異音AI検査の仕組み(クリックで拡大)出典:カシオ計算機

 また、山形カシオ内の製造設備の予兆保全を2020年6月から開始した。これは、微細歯車成形機のパーツ供給用のスカラーロボットで実証したものだ。微細歯車成形機は24時間自動で稼働しているが一緒に使われるスカラーロボットの故障が頻発しており、これを防ぐために導入をした。要因を見つけるために設備の自動監視を行うが、多くの設備に手軽に付けることを想定し、自社製品で使っていた骨伝導マイクとRaspberry Piを用いて2万円以下のシステムを構築し、データを取得できるようにし監視を行った。

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設備監視に用いたハードウェア(クリックで拡大)出典:カシオ計算機

 具体的には、設備の振動を音声にした波形データを取得し、パターンマッチングで波形を抽出。振幅判定とともに統計処理を行うことで、設備劣化の変化の経緯を把握し、予兆から警報を発信することを可能にした。2018年4月から実証実験を行ってきたが、2020年4月21日に実際に故障が発生。その予兆をしっかりとられて事前警告が出せたことで、現場からの理解も得ることができた。今後は海外工場などにも展開を計画している。

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設備監視に用いたソフトウェア(クリックで拡大)出典:カシオ計算機

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