くら寿司はなぜ半年で非接触型サービスを導入できたのか:イノベーションのレシピ(1/2 ページ)
回転ずしチェーンを展開するくら寿司は、池袋サンシャイン60通り店に、入店から退店まで顧客が店員と対面することなく、すしの提供をはじめとするサービス提供が可能となる「非接触型サービス」を導入した。このような非接触型サービスの導入は「大手外食チェーンで初」(同社)だという。
回転ずしチェーンを展開するくら寿司は2020年10月13日、同社の池袋サンシャイン60通り店(東京都豊島区)に、入店から退店まで顧客が店員と対面することなく、すしの提供をはじめとするサービス提供が可能となる「非接触型サービス」を導入し、報道陣に公開した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、外食における「非接触」や「自動化」のニーズが高まっているが、このような非接触型サービスの導入は「大手外食チェーンで初」(同社)だという。
今回発表した非接触型サービスは、店舗入り口に設置されている自動受付案内機と、各テーブルですしやサイドメニューを注文するのに用いるタブレット端末を改良するとともに、テーブル会計終了後の支払いを行うレジをセルフレジ化することによって実現している。以下に、入店から退店までの流れを見てみよう。
タッチパネルをタッチせずに操作できる
店舗入り口にある自動受付案内機は、来客人数の入力と座席の選択(テーブルもしくはカウンター)を行えば、座席に空きがある場合には座席番号の入った案内票が、座席が空くまで待つ必要がある場合は整理券が発券される。これまで、来店客による入力操作はタッチパネルをタッチする必要があったが、COVID-19の感染防止の観点ではこれを非接触にすることが求められていた。
くら寿司は現行の自動受付案内機のハードウェアに大幅な変更を加えずに、タッチパネルの画面下部へのセンサーの追加とソフトウェアのアップデートによって、来店客がタッチパネルに触れることなく画面を指さすだけでも操作を行えるようにした。
タッチパネルの画面下部のセンサーにより、タッチパネルに触れることなく画面を指さすだけで操作できる。なお、このセンサー技術は大阪のベンチャー企業・知能技術が提供しており、指を使って触れることなく簡単に画面を操作できる「UbiMouse」を応用しているとみられる(クリックで拡大)
案内票が発券されたら、来店客は店舗の天井に設置されているディスプレイの案内に従って座席まで移動する。これは、今回の非接触型サービス以前から導入されているものだ。
座席で注文を行う際には、コンベヤーの上方に固定されたタブレット端末を操作する必要があるが、これもタッチパネルをタッチする必要がある。今回の非接触型サービスでは、タブレット端末の初期表示画面に出ているQRコードをスマートフォンで読み込めば、Webブラウザベースの注文アプリが起動する。この注文アプリを使えば、タブレット端末に触ることなく、自身のスマートフォンで注文することができる。スマートフォンにくら寿司のアプリをインストールしている場合には、こちらのアプリ経由で注文することになる。
食事を終えた後の会計は、スマートフォンのアプリ経由で注文したものに加えて、コンベヤー上を流れるすし皿のカウントについては、コンベヤーの上方に設置したAI(人工知能)カメラにより自動化しており(セルフチェック)、これらの合計になる。なお、現時点での非接触型サービスでは、回収レーンへのすし皿投入の確認と、最終会計の確認については、タブレット端末のタッチ操作を行う必要がある。「ソフトウェアなどの仕様上、現時点ではこれらのタッチ操作が必要だが、2021年春には完全タッチレスを実現できるようにする計画だ」(くら寿司の広報担当者)という。
座席での会計終了後には、従来のレジ受付箇所に新たに設置されたセルフレジを使って支払いを行う。まずは、案内票の下部に印刷されているバーコードをセルフレジで読み取ることで、座席の支払金額が表示される。次に、タッチパネルに表示される支払方法(現金、クレジットカード、バーコード方式のキャッシュレス決済)を選択するが、ここでも自動受付案内機と同じようにタッチパネル下部にセンサーが設置されているので、タッチパネルをタッチすることなく指さすだけで選択操作が行える。後は、支払方法に合わせて支払いを行えばよい。
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