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自動車生産で避けて通れない、設計や工程の変更いまさら聞けない自動車業界用語(6)(1/2 ページ)

品質問題の解消やコスト削減の目的で実施される設計変更や工程変更。実際に業務として取り組む人も多く、工数のかかるややこしい事案……是非とも理解を深めてください!

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自動車部品メーカーで働くカッパッパです。
品質問題の解消やコスト削減の目的で実施される設計変更や工程変更。実際に業務として取り組む人も多く、工数のかかるややこしい事案……是非とも理解を深めてください!


 今回は自動車を製造する上で避けては通れない設計/工程変更について説明します。品質の大きな変化点となる設計/工程変更、失敗すると品質や不良在庫の問題につながる業務の上で非常に重要度の高い仕事です。設計/工程変更とは何か、どのようなときに行われるのか、どのようにして切り替えられるのか、そしてそのための品質保証をどのように行っていくのか。今回はそうした内容について説明していきます。

→「いまさら聞けない自動車業界用語」バックナンバーはこちら

 設計変更とは、「製品(部品)の基となる図面が変更になること」です。図面が変われば、それに伴って作る製品の仕様も変更になり、また製品の品番も変更になります。

 設計変更が行われるケースは大きく2つの種類に分けられます。1つは「問題解決型」。これは、図面に問題があって変更となる場合です。図面通りに作ったとしても製品に要求される性能が満足できない場合や、製品に求められる法規制が変わった場合の他、図面通りの公差や仕様では実際の製造現場で製品を作ることができない場合、また図面に誤記があった場合などが当てはまります。

 もう1つは「課題解決型」。これは製品自体に問題はなく、改善のために行われる変更です。例えば、原価管理の記事にも書いたようなVA、VEなどのコスト削減があります。その場合は、部品の変更や廃止、また製品の公差緩和を実施し、図面が変更となります。

 こうした設計変更は、品番が変更となるメジャー設変と、品番に付属する符号が変更となるマイナー設変のに2種類に分けられます。例えば「12345-00000」という製品があった場合、「12345-00001」のように品番が変わる設計変更がメジャー設変です。性能や仕様、部品構成について大きく変化する場合が多く、前後の製品は区別する必要があり、基本的に互換性はありません。

 一方、マイナー設変では品番の符号のみが変化します。「12345-00000」には通常「12345-00000-A」という符号がついており「12345-00000-B」に変わる変更がマイナー設計変更です。比較的品質への影響が少ない変更、多少の公差の緩和や誤記訂正の場合にマイナー変更は行われることが多く、前後の製品は互換性を持つことが多いです。


設計変更が行われるケースとは(クリックして拡大)

設計変更はどのようにして実施するのか

 それでは設計変更はどのようにして実施されるのでしょうか。大きく分けて3つのパターンがあります。

 1つ目は「即時型」。図面通りに作って性能が要求に満たなかったり、不良が発生したりするといった品質問題などで、早急に切り替える必要がある場合です。2つ目の「日時指定型」は、決められた期日で変更を行います。3つ目は「ランニングチェンジ(ランチェン)」で、変更前の製品の在庫を消化してから切り替える場合です。1>2>3の順に緊急度が高くなっています。

 設計変更では、仕様の変更に伴って部品の改廃、金型の変更など費用がかかる場合も多く、いかに無駄なコストをかけずに変更できるかが重要になります。また、顧客の要望による変更の場合には、発生した費用の補償請求を行うこともあります。

 設計変更と合わせて覚えておきたい用語が「技術連絡書(技術連絡票)」です。設計変更では図面を変えるために、正式に図面発行(出図)するまでに時間がかかります。客先や仕入先の図面も変わる際には相手先の出図も待たなければいけません。

 品質問題など緊急を要する場合は仕様や公差を早急に変更する必要があり、その際に発行されるのが「技術連絡書」です。図面とは異なる仕様などを追記するための書類で、正式出図がされるまで一時的に認める場合に設計・技術部門から発行されます。実務で使われることも多いのでぜひとも覚えておきたい用語、知識です。

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