「クルマとIoTで何ができると思いますか?」、ギブ&ギブで探すデンソー:つながるクルマ キーマンインタビュー(3/3 ページ)
自動車業界からifLinkオープンコミュニティに参加して活動するのがデンソーだ。異業種からクルマに関するIFとTHENをつのってコネクテッドカーの開発に生かそうとしている。デンソー コネクテッドシステム事業推進部 コネクテッドシステム開発室 担当次長の安保正敏(あぼう まさとし)氏に、コミュニティでの取り組みや成果を聞いた。
クルマのデータや制御を積極的にオープン化
MONOist 新しいつなげ方や使い方を募っていく上で今後どのような取り組みを考えていますか。
安保氏 今回提供したのは「クルマが近づいたら」「クルマがしゃべったら」という限定的なモジュールでしたが、クルマの機能や動作に関する情報をさらに提供し、開拓を進めていきます。
デンソーでは、クルマのさまざまな情報を収集するモジュール「Mobility IoT Core」の開発を進めており、これを通じてクルマの情報を取得したり車両を制御したりできるようにしています。実車でMobility IoT Coreを使いながら機能を開発するのはハードルが高いので、バーチャルで動くクルマや車載機器をifLinkの会員に提供していきます。
このシミュレーターはWebブラウザ上で動くアプリケーションで、簡単な操作でクルマをいろいろと動かすことができます。外部のセンサーの動作を受けてクルマに何をさせるか、異業種の方にも検証しやすくします。現在はシミュレーターを希望者に公開中です。さらに、シミュレーターで開発した機能を、Mobility IoT Coreを搭載した実車で再現できる環境も2020年内に用意します。シミュレーターの使い方などの勉強会も考えています。
このようにクルマのデータや制御をオープン化して、みなさんがクルマと自社の製品やサービスをつなげて何をしたいと思うか、知りたいです。
まずは自分たちが持っているものをコミュニティに提供しようという「ギブ&ギブ」は、ifLinkオープンコミュニティの立ち上げ当初からある方針です。普通は「ギブ&テイク」と言いますが、初期の段階でテイクを期待しすぎるとうまくいかないので、テイクを期待しすぎずにギブし合うことがテイクを生むのではないかという議論で生まれました。ツリーベルやノーリツとのPoCは、自動車に関してギブし合う取り組み「ギブ&ギブセッション」を通じて実現しました。
MONOist メガサプライヤーとして、ifLinkをどう評価しますか。
安保氏 今はまだ“味見”の段階ですが、IoTのデファクトスタンダードを取れるかどうか、自動車メーカーに提案して採用に至るような具体的な成果につなげられるかがポイントだと考えています。日本発のIoTの標準を作っていく上で、モビリティの面から貢献していきたいと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ソニーが描く“走るコンピュータ”としてのクルマ
アマゾン ウェブ サービス(AWS)は2020年9月8〜30日、オンラインでのユーザーイベント「AWS Summit Online」を開催。その中の特別講演として、ソニー AIロボティクスビジネスグループ 執行役員の川西泉氏が登壇し「VISION-S プロジェクト:ソニーのモビリティに対する取り組み」をテーマに、同社が2020年1月に技術見本市「CES」で発表した次世代自動車プロジェクトの概要や今後の挑戦について紹介した。 - トヨタNTTの“がっかり”提携会見、その背後にある真の狙いとは
2020年3月24日、トヨタ自動車とNTTが資本業務提携についての記者会見を開いた。主要な題目はスマートシティービジネスとなっていたが、両社の説明は具体性に欠け“がっかり”させる内容だった。今回の会見の背景にある狙いについて、自動車産業ジャーナリストの桃田健史氏が読み解く。 - トヨタがデジタルツインで街づくり、移動、生活、インフラの新技術を試す
トヨタ自動車は消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2020」(2020年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)において、静岡県裾野市に設置する実証都市「コネクティッド・シティ」のプロジェクトを発表する。モノやサービスをつなげる環境を整え、実際に人が住んで生活しながら、自動運転車やカーシェアリング、コネクテッドカー、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホームなどの活用に向けた実証を行う。 - デンソーも備える「モビリティのサービス化」、プラットフォームを準備中
自動車を所有せず、必要な時にサービスとして利用する時代を見据え、デンソーも準備を進めている。専用の車載機やクラウド基盤を自動車メーカーや移動サービスを手掛ける企業に提案していき、2025〜2030年ごろの実用化を目指す。 - 誰もが簡単にIoTを使えるifLinkがコミュニティ設立、2020年夏にオープン発表会
「誰もがカンタンにIoTを使える世界」を目指すifLinkオープンコミュニティが、設立記念イベントとなる「ifLink Open Community CYBER KICK OFF」をオンラインで開催。100以上の企業・団体が参画する同コミュニティから早期に成果を示す場として、2020年夏にオープン発表会を計画しているという。 - システム構築は「たった1時間で完了」、ifLinkのコミュニティーイベント開催
「誰もがカンタンにIoT(モノのインターネット)をつかえる世界」を掲げるifLinkオープンコミュニティが、2020年8月31日、コミュニティーの活動成果を示すイベント「ifLink Open Community Festival 2020 Summer」をオンラインで開催した。本稿では、同日に報道関係者向けに開催されたデモ展示内容をお伝えする。