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Excelによる計画情報管理から脱し「デジタルサプライチェーンツイン」を目指せ製造業DXの鍵−デジタルサプライチェーン推進の勘所(4)(3/3 ページ)

サプライチェーンにおける業務改革を推進する中で、デジタルがもたらす効果や実現に向けて乗り越えなければならない課題、事例、推進上のポイントを紹介する本連載。第4回は、SCMにおけるDXの打ち手として、「グローバルPSI(生産・販売・在庫)計画」「流通PSI計画」「サプライヤー計画連携」という3つの事例を紹介する。

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SCM全体でデータを共有、活用、つなぐためには

 以上、連載第3回と合わせて「AIを活用した需要予測」「グローバルPSI計画」「流通PSI計画」「サプライヤー計画連携」という4つの事例を紹介した。

 繰り返しとなるが、SCMは需要と供給のギャップのコントロール(=変化対応)であり、そのためには、需要側と供給側の双方向からの“データ”を早く、確実に、相互に伝えることが重要であり、業務領域を超えてデータをつなぎ、E2Eでサプライチェーンを可視化、共有することが必須となる。個別領域だけに特化してデジタルツール、技術を活用し業務の高度化、効率化を図るだけではSCM全体での高度化にはならない。

 ここで、SCMにおけるデジタルモデルを図5に示す。筆者は、SCM全体でデータを共有、活用、つなぐためには、データのデジタル化は大きな武器であり、「個別領域の情報のデジタルツイン化」ならびに「E2Eのサプライチェーンモデルで情報をつなぐことによるデジタルサプライチェーンツイン」を実現することが必要であると考えている。

図5
図5 SCMにおけるデジタルサプライチェーンツインモデル(クリックで拡大)

 デジタルツインとは、デジタル空間上に物理空間をリアルタイムに再現する概念であり、製造業のデジタル化において注目されている。例えば、IoT(モノのインターネット)関連技術を製造工程に活用し、デジタル空間上に物理空間(ここでは、製造工程を指す)をリアルタイムに再現、各製造設備や製品の状態をリアルタイムに確認、コントロールするといった取り組みである。こういった「個別領域の情報のデジタルツイン化」に加えて、「サプライチェーン全体でデジタルツイン」を実現し、サプライチェーン可視化、分析、計画、意思決定につなげる。

 ただし、サプライチェーンは複雑化しており、ただ単純に各領域のデータを結合するだけでは、デジタル空間にサプライチェーンを再現することはできない。そこで必要になるのが、現実のサプライチェーン全体構造をデジタル上に再現するためのサプライチェーンモデルである。サプライチェーンモデルは、実際のサプライチェーンの物流、商流、情報流を定義したモデルであり、デジタルサプライチェーンの肝になるものだ。



 そこで次回は、デジタルサプライチェーンツインを実現するためのE2Eサプライチェーンモデルおよびデジタル基盤(プラットフォーム)とは何かを紹介する。

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筆者プロフィール

宍戸徹哉(ししど てつや) クニエ シニアマネージャー

大手国内システムインテグレーターにてSCM関連システム構築に従事し現職。ハイテク・エレクトロニクス、自動車、ヘルスケア、非鉄金属、建設、化学、製薬業界など、サプライチェーン分野のコンサルティングに従事。

主に、SCM/S&OP業務改革、組織改革、ITを活用した改革構想および導入を担当している。

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筆者プロフィール

笹川亮平(ささかわ りょうへい) クニエ マネージングディレクター

ハイテク機器、自動車など組み立て系、プロセス系製造業の企画構想から定着化まで生産管理、在庫管理、需給管理を中心としたSCM/S&OP業務改革、ERP/SCP構想策定および導入コンサルティングに従事している。

編著に「“数"の管理から“利益"の管理へ S&OPで儲かるSCMを創る!」がある。

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