廃プラスチック資源として循環させるプロセス技術開発事業に着手:サステナブル設計
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、廃プラスチックを適正に処理し、資源として循環させる「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」事業に着手する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2020年8月18日、廃プラスチックを適正に処理し、資源として循環させる「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」事業に着手すると発表した。事業期間は2020〜2024年度を、事業予算は35億円を予定している。
同事業では、廃プラスチックを最適な処理方法に振り分ける「高度選別システム」技術、元のプラスチック材料と遜色ない材料に再生する「材料再生プロセス」技術、分解して石油化学原料に転換する「石油化学原料化プロセス」技術、材料や原料への再生が困難な廃プラスチックを焼却し、エネルギーを高効率に回収、利用する「高効率エネルギー回収、利用システム」技術を連携して開発する。
高度選別システム開発では、複合センシング、AI(人工知能)、ロボットなどを利用。高速かつ高精度に、混ざり合ったものや、汚れた廃プラスチックを各処理プロセスに最適に自動選別する技術を開発する。
材料再生プロセス開発では、加工工程や使用状況に応じて劣化するプラスチックの劣化要因を解明し、それらに立脚した材料再生、成形加工技術を開発する。
石油化学原料化プロセス開発の主な対象は、汚れや複合材料化などによって元のプラスチック材料への再生が困難な廃プラスチック。廃プラスチックを既存の石油精製、石油化学設備などを活用して分解し、石油化学原料に転換する技術を開発する。
高効率エネルギー回収、利用システム開発の主な対象は、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルによる再生処理が困難な廃プラスチック。単純に焼却するのではなく、効率よく燃焼によるエネルギーを回収し、利用する技術を開発する。
これの技術開発により、2030年度までにこれまで国内で再資源化されていなかった廃プラスチックのうち、約300万トン/年を有効利用するという目標を掲げる。
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