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小田急がMaaSアプリの機能拡充を加速、後押しするのはAWSモビリティサービス(1/2 ページ)

小田急電鉄の「MaaSアプリ」が急速な進化を遂げている。同社は2018年末にMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車を所有せず移動をサービスとして利用すること)での協業を決定。2019年4月にヴァル研究所とともに交通に関するデータ基盤「MaaS Japan」の開発を開始し、同年10月末にMaaS Japanを活用したスマートフォン向けアプリ「EMot(エモット)」をサービスインした。

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 小田急電鉄の「MaaSアプリ」が急速な進化を遂げている。同社は2018年末にMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などを所有せず移動をサービスとして利用すること)で複数企業との協業を決定。2019年4月にはヴァル研究所とともに交通に関するデータ基盤「MaaS Japan」の開発を開始し、同年10月末にMaaS Japanを活用したスマートフォン向けアプリ「EMot(エモット)」をサービスインした。

 EMotの連携先はタクシー配車アプリの他、カーシェアやバイクシェアのアプリなどに拡大し、電車やバスを降りた後の他の移動手段の検索もカバーする。また、EMotを他の鉄道会社が活用する例もある。遠州鉄道がEMotで1日乗車券を販売している他、JR九州の観光MaaSの実証実験でも採用されている。さらに、茨城県土浦市が実施する観光客向けのMaaSの実証実験でもEmotを使用する。

小田急のMaaSアプリEMotで連携する企業(左)。鉄道やバスの乗車券だけでなく、飲食の電子チケットなども提供している(右)(クリックして拡大) 出典:小田急電鉄

 小田急電鉄は2020年内にもEMotに幾つかの機能を追加する計画だ。具体的には、代表者が購入したチケットを他のEMotアカウントに譲渡する機能や、電車とバスのリアルタイム運行情報と混雑予測などがある。また、小田急グループの温浴施設のチケットで利用特典の提供も始める。SNSなどを分析して話題のスポットをEMotで表示し、ユーザーが選択した複数の行き先を最適に訪問できる周遊プランの提案機能など複合的な経路検索も拡充する。

 MaaSに取り組む小田急電鉄と協力するヴァル研究所は、2020年8月19日に開いたオンライン説明会において、データ基盤であるMaaS JapanにAWS(Amazon Web Services)を採用していることを紹介した。

 AWSを採用した理由について、ヴァル研究所 執行役員 CTOの見川孝太氏は「ビジネスのスピードを優先して早く開発を進められること、今後の変更に柔軟に対応できることを重視した」と語った。また、MaaSの規模に合わせてスケールできるプラットフォームであり、ヴァル研究所として使い慣れていることもAWS採用の決め手となったという。


MaaS Japanの構成(クリックして拡大) 出典:ヴァル研究所

 MaaS Japanはチケッティングや決済、アカウント情報管理、外部APIなどの機能で構成されている。MaaS Japanの独自実装で全てのサービスをカバーするのではなく、外部のサービスと積極的に連携する方針だ。MaaS Japan自体もAPIを公開し、外部サービスによって利用されることを想定している。

 実際に、フィンランドのWhimや、シンガポールのZipsterといった海外のMaaSアプリとも連携して互換性を持たせており、海外MaaSアプリのユーザーが日本を訪れた際にもスムーズにサービスを利用できるようにする。見川氏は「API連携によって、サービス価値の向上や新たな市場開拓も進められるのではないか」と語る。


国内外で小田急のMaaSアプリとの連携が進んでいる(クリックして拡大) 出典:小田急電鉄

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