日本の製造業を取り巻く環境と世界の“不確実性”の高まり:ものづくり白書2020を読み解く(1)(3/5 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2020年版ものづくり白書」が2020年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2020年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第1回では日本の製造業の現状について整理した上で、日本の製造業を取り巻く“不確実性”について解説する。
老朽化が進む機械設備、製造業の設備投資の動向
製造業が依然として日本のGDPの2割を占めていることは先に確認した通りだが、その根幹を支える設備投資について国内の民間企業設備投資額の推移を見ると、リーマンショックを底として2019年まで増加基調が続いている。機械受注もリーマンショック以降おおむね増加基調だが、リーマンショック以前の水準までは回復していない(図9)。
製造業の設備投資額と減価償却費の関係を見ると、リーマンショック以降の2009年から2011年にかけては設備投資額が減価償却費を下回って推移するなど低調な時期が続いていた。しかし、2014年から2019年まで増加基調が続き、減価償却費を上回りながら推移してきた。ただ2019年以降は、先にも述べたように米中貿易摩擦などの影響もあり、横ばいとなっている(図10)。
このように日本の製造業においては設備投資が見送られる傾向が続いており、設備の老朽化に伴う更新の必要性が高まっている。日本機械工業連合会が2018年12月に行った生産設備保有期間に関するアンケートによると、調査を行った機械機種のうち、金属工作機械、第二次金属加工機械、鋳造装置では50〜80%近くの設備が導入から15年以上が経過しているという結果が出ている(図11)。
また、設備を導入してからの経過年数について、経済産業省による1994年調査、2013年調査と比較すると、二次金属加工機械、溶接機および溶断機、レーザー加工機、自動組み立て装置では、15年以上経過している機器が2〜3割程度増加している(図12)。
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