ヤマ発が語る、バイク開発に不可欠な「ほこり入り解析」の新手法とその妥当性:3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE(2/3 ページ)
ヤマハ発動機は、オンラインイベント「3DEXPERIENCE CONFERENCE JAPAN 2020 ONLINE」において、「モーターサイクルのほこり入りCFD解析について」と題し、CFDソリューション「PowerFLOW」をモーターサイクル(オートバイ)開発に適用した取り組みについて紹介した。
PowerFLOWによる解析:流速分布とほこり濃度分布
PowerFLOWを用いたほこり入り解析の検討における、諸条件と粒子条件は以下の通りだ。総ボクセル数は8000万弱で、サーフェル数は700万超。物理時間は、粒子分布の判定のため10秒間とし、コア数300でおよそ1.5日間の計算時間になったという。また、粒子条件については、従来の拡散ガスと質量粒子の2つのケースを検証。質量粒子の粒子径は細かな砂を想定して10〜210μmとし、粒子密度は一律3000kg/m3とした。
同社は、これら条件を基に解析を行い、PowerFLOWによる解析結果を検証した。
まず、車両センター断面の時間平均流速分布を見てみると、流れについては、PowerFLOWの結果も、従来手法のRANSによる結果もほぼ同様だが、「ライダーの背中、後流などに着目してみると、速度の大きさや方向に違いがあることが分かった。このような流れ場の違いによって、ほこりの輸送にも差異が生じるのではないかと推測される」(新田氏)という。
続いて、車両センター断面のほこり濃度分布を、RANS+拡散ガス、PowerFLOW+拡散ガス、PowerFLOW+質量粒子で比較した。「まず、RANS+拡散ガスと、PowerFLOW+拡散ガスの結果を比較してみると、流れ場の違いにより、ほこりの分布にも違いが生じていることが分かった。さらに、PowerFLOW+拡散ガスと、PowerFLOW+質量粒子の結果を比較すると、粒子の挙動によってもほこりの分布に違いが出ていることが見て取れた」と新田氏は説明する。
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