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ポストコロナの自動車産業に必要な3つの視点和田憲一郎の電動化新時代!(38)(2/3 ページ)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界で感染者が1300万人を超え、死者も57万人に上っている(2020年7月15日時点)。ニュースでは自動車の販売がいつ元に戻るのかとの論調が目立つが、ポストコロナは単に元の状態に戻すことだけで良いのだろうか。長期視点で見たとき、もう少し違った視点で捉え、今から対応策を練り直す必要があるように思えてならない。今回はこれについて筆者の考えを述べてみたい。

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ポストコロナに対応した車両開発が急務

 既販車種ではやむを得ないが、COVID-19は以前のSARS(重症急性呼吸器症候群)とは異なり、第2波、第3波と幾度もその波が押し寄せてくると考えられる。そうなると、次の新型車企画に当たって小手先だけではなく、本格的にポストコロナに対応した車両開発が急務と思われる。では、どのような視点で考えれば良いのだろうか。おそらくこれを実践するためには商品企画、設計基準、ガイドラインなどの見直しまでも必須となろう。以下3つのキーワードを例に考えてみたい。

(1)ソーシャルディスタンス

 一般的な意味では、疾病の感染拡大を防ぐために意図的に人と人との物理的距離を保つことである。では自動車業界向けに翻訳すると、どのような視点が必要となるのだろうか。

 まずは室内空間に対する考え方だ。これからの車両は、これまで以上に室内空間を十分に取った車両が好まれるのではないだろうか。もちろん、全幅は各地域のニーズによっておおむね定まってくるが、今後何を優先するかと考えたとき、全幅をやや大きくし、室内空間に十分配慮した車両が望ましいように思われる。これは商品企画にも直結する。なお、軽自動車では限界があることは言うまでもない。

 また、車両の運転席と助手席のヒップポイント間の距離に対しても、従来のガイドライン通りで良いか検討項目として挙げたい。さらに、ヘッドクリアランス(着座時の天井との空間)や、ヘッドクリアランス前方の開放感など、これまで車両制約でやむを得ないと思っていた要件でも、いま一度ガイドラインなどを見直すことを提案したい。乗車したときの相手との距離感、開放感は他社と比べられたときに優位性を示すだろう。

 操作系のディスタンスについても検討したい。一般的にインパネ周りなどの室内レイアウトは、エルゴノミクス(人間工学)を考慮し設計されている。しかし、これまでの機能に対して、運転席、助手席の操作役割分担を見直すことも一案である。つまり、ボタンやスイッチのパーソナル化である。できる限り共用のボタンやスイッチを減らし、運転席で必要なものはステアリングや周辺に配置するのだ。助手席で操作が必要な場合は、コンソールや、やや助手席側に振ったスイッチ、ボタン設定なども考えられる。

(2)殺菌効果

 殺菌技術として、深紫外線が話題となっている。紫外線(波長100n〜400nm)の中で、特に波長の短い領域(波長100n〜280nm)を深紫外線と呼び、高い殺菌能力を有しているといわれている。米国コロンビア大学 放射線研究センターの研究チームは、222nmの深紫外線を照射することで、新型コロナウイルスに対する殺菌効果があったことを公表している。まだ基礎技術の段階と推察されるが、このような新技術が照明器具や殺菌ランプとして設置されることで、より安全性の高い商品が出てくるだろう。

(3)コンタクトレス

 COVID-19では、これまで以上に接触についても考える必要がある。コンタクトレスにつながる技術の1つが、ワイヤレス給電だ。ワイヤレス給電はこれまで幾度も取り上げられているが、利便性がありながら普及段階とはいかなかった。しかし、今回の事態を受けて、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)で充電する際に、充電ケーブルの充電ガンに触れることなく充電できるとなれば、ユーザーにとってうれしい機能となる。中国などでは徐々に実用化しつつあり、いよいよワイヤレス給電に脚光が浴びると思われる。


図表2:中興通訊(ZTE)のワイヤレス給電概念(クリックして拡大) 出典:ZTE HP

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