工程管理における「管理方式」「機能」「生産日程計画」とは:工程管理は、あらゆる現場問題を解決する(2)(1/5 ページ)
工場における生産管理の根幹となる「工程管理」について解説する本連載。第2回は、工程管理における「管理方式」「機能」「生産日程計画」について説明する。
連載第1回となる前回の冒頭では、「工程管理は、基本計画に従って、ある品種の製品を所定の期日までに所定数量を経済的に製造するように計画し、統制していく活動をいう」、「工完日を顧客納期で管理している企業も多く見受けられます。これでは、納期が守れない場合が発生しても不思議ではありません」と説明しました。今回はまず、この工完日管理についてもう少し詳しく説明を加えておきたいと思います。その後、工程管理における「管理方式」「機能」「生産日程計画」について紹介します。
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1.工完日(加工完了日)を顧客納期で管理していないか
例えば、ある品種の同じ製品100台を製造する場合、全ての製品が同じ工程長(または時間)で完了できればいいのですが、いろいろな事情でそううまくはいきません。図1(a)のように工程長にバラツキであったとします。通常は、できるだけ同じ時間や工程長で作業が終了するように手順の標準化などを行いますが、説明の都合上、ここでは、そういった改善は考慮しないことにします。
工程管理に関心の薄い企業では、工完日を顧客納期で管理しているケースが多くあります。この時点で、図1(b)からも分かるように生産台数の半数、50台くらいは納期遅延を起こしてしまうことが容易に想定できます。
生産の途中で、納期に間に合わないことに気付き、残業や休日出勤、外注展開などの原価アップの策をそのことだけのために講じて、なんとか納期に間に合わせようとします。その様子を図2に表しました。
生産日程計画を立案(スケジューリング;Scheduling)するときは、図3に示す通り、納期が厳守できる工完日を決めて、各部署の生産日程を決定していきます。以上のことをご理解いただきたいと思います。
また、製造する際に投入する生産資源をできるだけ平均化するための生産の平準化を行いますが、平準化の話は、別の機会にしたいと思います。その結果を生産日程計画へ反映させて、最少コストによる生産を実現します。
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