設計者の働き方が変わる!? デジファブ技術が設計業務にもたらすインパクト:デジファブ技術を設計業務でどう生かす?(1)(2/3 ページ)
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。デジファブ技術を活用した新たなモノづくりの視点や働き方、業務改革のヒントを製造業の設計現場視点で考察していく。
デジファブ機器の代表格「3Dプリンタ」と「3Dスキャナ」について
デジタルファブリケーション機器については、今後の連載の中でより詳しく紹介していきますが、今回はその導入として、代名詞的な存在ともいえる「3Dプリンタ」と「3Dスキャナ」について、簡単に取り上げてみたいと思います。
まずは、3Dプリンタです。MONOist読者の皆さんにはもはや説明不要かもしれませんが、3Dプリンタについて端的に説明すると、「材料を積み重ねながら立体物を造形していく機器」になります。
設計者が作成した3Dデータを素早く試作して検証できるメリットがある他、これまでの製造・加工技術では作ることが困難だった形状を作成できるという利点があります。材料の積み重ね方法が樹脂を熱で溶かして冷やして固めたり、レーザーで焼結して固めたりなどさまざまあります。機器によって、使える材料の種類や精度、スピードが変わってきますので、今後の連載で設計時の使い分けなども説明していく予定です。
次に、3Dスキャナです。「物体に光やレーザーなどを照射して、3次元形状を取得しデジタルデータ化する機器」です。設計データ通りにモノができているかの検査やリバースエンジニアリングなどに利用されます。3Dスキャナで取得できるデータは、点群データやSTLデータというものになり、CADデータとは扱い方が異なります。扱いが異なるため後工程での利用が困難な場合もあり、取り扱いには注意が必要な点も多くあります。今後の連載で各データの違いや利用方法、測定サービスに依頼する際のポイントについても取り上げていきます。
3Dプリンタと3Dスキャナは、メカ設計者として活用する機会が多いものになるかと思いますが、その他にも切削加工機を利用して、塊から削ってモノを試作したり、治具を製作したり、レーザー加工機を利用して、板をカットして組み立ててモノを作ったりなど、デジタルファブリケーション技術を活用することで、これまでの設計業務とは違ったアプローチで設計検討が行えます。これらの機器についても今後、可能な範囲で紹介していけたらと思います。
以上、3Dプリンタや3Dスキャナをはじめとするハードウェア機器の話題を中心に説明してきましたが、当然ながら、これらの機器を動かすためのソフトウェアも非常に重要であり、モノを作るための元となる設計データを作成する3D CADやCGソフトウェアの存在は欠かせません。
ハードウェア同様、ソフトウェアも日々進化を遂げています。かつては数百万円から数千万円していたものが、今では数万円から数十万円と安価になり、中には無料で利用できるものも多く出てきています。本連載では、業務用の高額なソフトウェアだけではなく、安価/無料で利用できるソフトウェアは果たして設計業務で使えるのか!? についても模索していきます。
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