“ポストCOVID”のサプライチェーンでブロックチェーンへの期待が高まる――IBM:サプライチェーン改革(2/2 ページ)
日本IBMが同社のブロックチェーン戦略について説明。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、今後も“人が動けない”ことを前提にした業務体制強化が求められているため、企業のサプライチェーンでブロックチェーンの果たす役割がより一層高まるという。
「シンプルなプロセスに絞ってブロックチェーンの成果を素早く出す」
IBM Blockchain Platformは2017年12月展開を始めているが、当初はIBMクラウドのみに対応していた。しかし、Red Hatの買収から始まる現在のハイブリッドクラウド戦略に対応するべく2019年からはマルチクラウド対応となった。「ブロックチェーン関連でこれだけ幅広く対応できるのはIBMだけだろう」(高田氏)。
また、ブロックチェーン事業におけるパートナーとの協業も重視していく方針を表明した。IBM Blockchain Platformだけでなく、IBM Food Trust、Trust Your SupplierもパートナーとのSIの基盤になっていくという。例えば、レストラン顧客が食べた東京湾のスズキについて、漁獲地や加工方法を追跡でき、レシピ情報なども得られる「Ocean to Tableプロジェクト」でIBM Food Trustが活用されている。EDI(電子データ交換)サービスを展開するインテックとも、IBM Food Trustを用いた食の課題解決に向けた情報流通プラットフォームの構築に向けた協業を進めている。
製造業ではサプライチェーンの効率化に向けてブロックチェーン技術に期待が集まっているものの、なかなか導入が進んでいないのが実情だ。三澤氏は「製造業のサプライチェーンのように複雑で多岐にわたる場合、ブロックチェーンの立ち上げはそう簡単には進まない。ある程度シンプルなプロセスに絞ってブロックチェーンの成果を素早く出せば、そこからネットワークを広げていけるのではないか。当社のブロックチェーンソリューションとして提供している、迅速な導入が特徴のSaaSのような手軽なところから始めていくことも端緒の1つになるだろう」と述べている。
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