3Dプリンタで作ったフェイスシールドを現場に安全に届けるためのマニュアルを公開:3Dプリンタニュース
慶應義塾大学と神奈川大学によるチームは、3Dプリンタやレーザーカッターをはじめとするデジタル工作機械で少量生産したフェイスシールドなどを、訪問看護をはじめとする現場へ安全に届けることを目的に、手順書と取扱説明書をまとめ、特設サイト「FabSafeHub」に公開した。
慶應義塾大学と神奈川大学によるチームは2020年5月8日、3Dプリンタやレーザーカッターをはじめとするデジタル工作機械で少量生産したフェイスシールドなどを、訪問看護をはじめとする現場へ安全に届けることを目的に、手順書と取扱説明書をまとめ、特設サイト「FabSafeHub」に公開したことを発表した。
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で世界的に不足するフェイスシールドの供給を、3Dプリンタなどを所有する個人や企業が支援する動きが活発化しつつある。
設計データがインターネット上で共有され、改善しながらスピーディーに少量生産されるという、緊急時の対応として過去になかった自律分散的なモノづくりが確立される一方、海外では粗悪品も散見され、品質管理の面で新たな課題もみられるようになってきた。
こうした状況を受け、慶應義塾大学 看護医療学部 准教授の宮川祥子氏、神奈川大学 経営学部 准教授の道用大介氏、慶應義塾大学 環境情報学部 教授の田中浩也氏は、自身が保有する3Dプリンタを活用しながら、長所を確認すると同時に、あらためて気を付けるべき点などを整理。そして、研究メンバーである湯浅亮平氏と吉岡純希氏とともに、緊急時であっても最低限の安全、安心なプロセスを担保するための情報として、手順書と取扱説明書をまとめ、特設サイト(FabSafeHub)に公開した。
公開内容には、善意で製作したモノを通じて感染が広がらないよう、適切な消毒方法や消毒に耐え得る素材の情報、受け取ったユーザー(例えば、看護現場の従事者)が使い方やメンテナンス方法を一目で理解できる取扱説明書などが含まれているという。
3人の教員を中心とするチームは、今後も関係各所と連携しながら、緊急対応と安全確保のバランスについて、状況の変化にあわせた検討を続けていくとしている。
関連記事
- コクヨのクリアファイルを使った3Dプリンタ製フェイスシールドを無償提供
ジャパン・メディカル・カンパニーは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響による医療器具不足の解消に向けた取り組みの一環として、3Dプリンタを用いた医療用フェイスシールドの製作を開始した。 - 日産が新型コロナ対策支援に名乗り、3Dプリンタでフェイスシールド製造
日産自動車は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の支援の一環として、3Dプリンタを用いて医療用フェイスシールドを製造し、日本の医療現場に提供すると発表した。 - デジタルモールドで早期量産化、スワニーが着想から10日でフェイスシールドを製造
スワニーは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策支援の一環として、医療現場で不足するフェイスシールドの開発に着手し、着想から10日ほどで量産化を実現した。 - 【緊急調査】新型コロナ対策支援における3Dプリンタ活用
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行に伴い、重症患者の治療に必要とされる人工呼吸器、さらには診察・治療のための検査キットや医療用マスク、防護具などが不足している。こうした状況を受け、今積極的に支援活動を展開し、その輪を広げようと、さまざまな施策を打ち出しているのが3Dプリンタメーカーだ。 - クリアファイルが新型コロナ対策用フェイスシールドに、3Dデータ無償公開
大阪大学大学院医学系研究科の特任教授である中島清一氏と招へい教員の室崎修氏らは、メガネフレームメーカーのシャルマンとの産学連携により、一般的なクリアファイルをシールドとして使用する安価なフェイスシールドの開発に成功したと発表した。 - 大阪大がフェイスシールドの量産・無償配布に向けクラウドファンディング
大阪大学は、クリアファイルを取り付けることでフェイスシールドとして利用できるフレームを大量生産し、医療機関へ順次無償配布することを目指すクラウドファンディングプロジェクト「新型コロナ:命を守るフルフェイスシールドをいち早く医療現場へ」を開始した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.