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強制対流による冷却を考える初心者のための流体解析入門(11)(3/4 ページ)

流体解析をテーマに、入門者や初学者でも分かりやすくをモットーに、その基礎を詳しく解説する連載。今回のテーマは“強制対流による冷却”だ。

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流速と熱伝達率の関係を考える

 さて、ここから考えていきたいのは、“どのくらいの時間で、どの程度温度を下げたいのか”という目標を実現するためには、「どの程度の熱伝達率が必要なのか」、さらにその熱伝達率を実現するには、「どの程度の流速が必要なのか」という“当たり”の部分です。

 ここを考えておかないと、例えば「どのようなファンで、どの程度の空気を送ればよいのか」ということも、当てずっぽうになってしまいます。

 ということで、ここからその関係について考えていきます。

 まず、熱伝達率αと流速Uの関係を考えます。前述の式を用いることで、以下のように表せます。代表長を0.01m(10mm)としたとき、

式9
式9 代表長を0.01mとした場合の熱伝達率と流速の関係式

となります。

 なお、レイノルズ数が5×105よりも大きい場合は、もう1つの式を使いますが、今回の例ではレイノルズ数が小さいため、こちらは割愛します。この式では、目的の熱伝達係数を得るための流速の見積もりが可能です。

 しかし、これだけでは、目的の時間内に、初期温度からターゲット温度まで下げることができるのか分かりません。

 そこで、熱伝達率と温度の関係を考えてみます。そのためには、非定常伝熱のための計算式を考えてやる必要があります。ここではその詳しい説明は割愛し、今回の目的の式を示します。Cを比熱(J/kgK)、密度をρ(kg/m3)、Vを物体の体積(m3)、Sを物体の表面積(m2)、αを熱伝達率(W/m2K)、tを時間(s)、Tを温度、Tを雰囲気温度、T0を初期温度としたとき、

式10
式10 非定常伝熱のための計算式

とすることができます。

 ここから、任意の温度や材料物性、時間などを代入することによって、目的の時間とターゲットとなる温度に対する熱伝達率を求めることができます。後は、この熱伝達率と流速の関係を求めてやればよいことになります。

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