2020年は空前の火星探査イヤーに、はやぶさ2が帰還しH3ロケットの開発も着々:MONOist 2020年展望(2/4 ページ)
2020年の宇宙開発で最も注目を集めそうなのが「火星探査」だ。この他「月・小惑星探査」「新型ロケット」「多様化する人工衛星」をテーマに、注目すべき話題をピックアップして紹介する。
はやぶさ2がいよいよ帰還、日本初の月面着陸も?
2019年に引き続き、2020年も小惑星探査の話題で盛り上がりそうだ。まず、日本の「はやぶさ2」は、2019年末に小惑星リュウグウを離脱し、現在は地球への帰還中。2回のタッチダウンを成功させ、サンプルを予定通り取得したとみられるものの、どのくらいの量が入っているかは、帰還してカプセルを開けてみるまで分からない。年末の帰還が楽しみだ。
はやぶさ初号機は、探査機本体まで一緒に再突入して燃え尽きた。そのドラマチックな一生に感動した人も多かったが、はやぶさ2はこれまで何も大きなトラブルがなく、カプセル分離後にエンジンを噴射して、地球を避けることができる。おそらく延長ミッションが用意されるので、どこに向かうのかも2020年中に明らかになるだろう。
小惑星探査では2020年8月、米国の「OSIRIS-REx」がいよいよサンプル採取に挑む。同探査機がいる小惑星ベンヌも、リュウグウ同様に地表は岩だらけ。その中でも比較的平たんな「ナイチンゲール」と名付けたエリアへの着陸を決めたものの、当初想定していた50mの広さはなく、直径は16mと非常に狭い。精度の高い着陸が求められるだろう。
はやぶさシリーズが弾丸発射方式を採用していたのに対し、OSIRIS-RExの「TAGSAM(Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism)」は、ロボットアームを伸ばして、先端から窒素ガスを噴射、まるで掃除機のように表面物質を巻き上げて回収する。はやぶさ2に続く成功を期待したいところだ。
また、遅れる可能性もあるものの2020年は月探査でも大きな動きがあるかもしれない。
まず中国は、世界初の裏面への着陸に成功した「嫦娥4号」に続き、「嫦娥5号」を送り込む。この探査機が狙うのは、月面からのサンプルリターンである。もし成功すれば、米国と旧ソ連に続く3カ国目。旧ソ連の「ルナ24号機」以来、44年ぶりのサンプル採取となり、月探査の新時代が本格的に開幕しそうだ。
そして米国の新型大型ロケット「SLS」の1号機に相乗りする形で、日本の超小型衛星2機も月に向かう。「EQUULEUS」はそのまま地球・月のラグランジュ点へ向かうが、もう1機の「OMOTENASHI」が狙うのは月面着陸だ。SLSの打ち上げが遅れなければ、もしかすると、これが日本初の月面着陸となるかもしれない。
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