金属フィラメントにも対応する話題の3Dプリンタ「Adventurer3X」を試してみた:製品レビュー(5/5 ページ)
金属フィラメントにも対応する、デスクトップ型FDM方式3Dプリンタ「Adventurer3X」をご存じだろうか。特別にレビュー機をお借りできたので、今回は開封の儀と、ざっと使用してみてのファーストインプレッションをお届けする。
0.3mmノズルの性能やいかに!? 気になる造形品質は?
では、実際の使用感はどうか。この日のために用意しておいた「ボルト&ナット(M8 1.25規格をベースにモデルを調整したもの)」の3Dデータを造形してみることにした。ノズルは0.3mmに交換し、カーボンファイバー製プラットフォームを使用。FlashXPrintのエキスパートモードから0.3mmノズル用のプロファイルを選択し、「ラフトなし」「枠あり」でスライス処理を行い、スライスしたデータ(.*gxファイル)をUSBメモリ経由で本体に転送した。
ちなみに、ノズルの交換はエクストルーダー前面にある左右のボタンを押しながら、ノズル部を軽くグイグイと揺らす感じで引き抜くとうまくいく(庫内も狭いので、初めて交換した際はかなり苦戦した……)。逆に取り付けは簡単で、「カチッ」と音がするまで押し込めばよい。
ボルト&ナットの造形時間は、ちょうど1時間。造形時の動作音は、これまたダヴィンチ Jr.1.0と比較して申し訳ないが、驚くほど静かだ。個人差はあると思うが、このレベルの動作音であれば、横で他の作業をしていてもさほど気にならないだろう。
また、0.3mmノズルは(交換が面倒だったので)そのままに、プロファイルのみを通常の「Adventurer3X」に変更してスライスしたところ、14分と表示され、0.3mm仕様のプロファイルの4分の1ほどの時間で造形できた。造形中のヘッドの動きも非常に軽快かつリズミカルで、造形の速さにとにかく驚かされた。
造形完了後は、カーボンファイバー製プラットフォームがフロントドアの近くまでせり出してくる。少し冷めるのを待ってからプラットフォームのつまみを押しながら手前に引き抜くとカーボンのプレート部が取り外せる。完成した造形物はこのプレートをしならせることで、スクレーパーがなくても比較的簡単に取り外せる。
それでは完成品を見てみよう。0.3mmプロファイル(0.3mmノズル使用)、標準プロファイル(0.3mmノズル使用)ともに仕上がりは良く、見た目は大きく変わらない。しかし、標準プロファイルで造形した方は後処理として、それなりにヤスリ掛けを行わないとうまくボルトとナットがはまらなかった。一方、0.3mmプロファイルで造形した方はほぼ後処理をしなくても(軽くヤスリ掛けする程度で)きれいにはまり、滑るようにボルトとナットを締め付けることができた。
ボルト&ナットのようにある程度精度が求められるものであれば、0.3mmプロファイルで造形すべきだと思うが、大まかな形が作れて、細かな精度を求める必要がないものであれば、標準プロファイルで素早く造形した方がよいように感じた。
今回は、サンプルとして付属していたPLAフィラメントを用いたファーストインプレッションをお届けした。残念ながら、Adventurer3Xの目玉でもある金属フィラメントについては紹介できなかったが、造形、そして気になる脱脂/焼結サービスを経ての仕上がり具合など、また機会があればお伝えしたいと思う。
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