「ChaoJi(チャオジ)」は超急速充電の世界統一規格となるのか:和田憲一郎の電動化新時代!(36)(2/4 ページ)
日中共同による超急速充電規格が大きな進展を見せている。ネーミングを「ChaoJi(チャオジ:超級)」とし、仕様書発行は2020年末までを目指して進めているようだ。なぜここまで急激に進展してきたのか、どのような仕様で、急速充電器や車両はどう変わるのか、今後の課題は何なのか、これらについてCHAdeMO協議会への取材を敢行した。
ChaoJiの特徴
吉田氏 本日は充電ガン(コネクター)およびケーブルの試作品が出来上がっているので、それをお見せしたい。日中共同研究のため、双方で製作しているが、これは日本側で製作した試作品である。
和田氏 試作品でも見せていただけることに感謝する。一見するとこれまでのCHAdeMO方式のガンより小さくなっている。前回は、最大出力900kW(1500V、600A)と聞いていたため、極めて大きく、かつ重量のあるガンだろうと思っていた。この開発経緯について教えていただきたい。
吉田氏 最大出力は前回ご説明したように、900kW(1500V、600A)で変わっていない。小型化できた要因は、ケーブルの中を液冷として、ガンのピンとなる部分の冷却が可能になったことにある。また、これまで急速充電器のガン側にロック機構を持っていたが、これについては、車体側に移した。このため、ガン形状が小さくなっている。
丸田氏 もう少し詳しく説明すると、次のようなプロセスとなる。
- 急速充電を開始する場合、ガンを車体側のインレット、いわゆる挿入口に入れて、急速充電器の開始ボタンを押す
- すると、急速充電器側からの信号により、車体のインレットからロックピンがガン横に挿入され、車体と急速充電器は固定される
- その後充電が始まり、充電が終わると、急速充電器側から車体側に信号が出て、電流が流れていないことを確認して、車体側はロックピンを解除する
- 充電完了したことにより、ユーザーはそのまま引き抜くことができる
丸田氏 なお、設計にあたっては、高出力であるが、ガン形状をできる限り軽量小型化したいとの思いがあった。ガンの挿入口より後ろ部分が膨らんでいるのは、ここまで液冷が循環されているからである。充電用のピンは長く、膨らみ部分まであることから、この内部で冷却されるようになっている。ケーブルに関しては、写真の下側に赤色と黒色の2本のチューブが見えるが、これが液冷用のチューブである。
和田氏 ChaoJiの新しいガン形状は分かったが、これまでのCHAdeMO充電器との互換性はあるのか。また市場にあるCHAdeMO2.0の急速充電器や車体はどうするのか。
吉田氏 まず基本的な考え方を説明すると、これまでのインフラを捨てるのではなく、それらを使えるように上位互換システムとして導入を考えている。つまり、新しいChaoJi対応車両へは、アダプターを使うことにより、これまでのCHAdeMO充電器から充電することができる。そのため現在、アダプター開発も同時に行っている。さらに、市場にあるこれまでのCHAdeMO充電器に対しては、徐々にChaoJi超急速充電器の数を増やしていき、いずれシステムとして統一したいと考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.