100年のしがらみを突き破る、パナソニックのモビリティ変革とその第一歩:MONOist IoT Forum 大阪2020(前編)(1/2 ページ)
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2020年1月30日、大阪市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 大阪」を開催した。本稿の前編ではパナソニック モビリティソリューションズ担当 参与 村瀬恭通氏による基調講演「クルマ中心から人中心のまちへ 変革するモビリティへの挑戦」の内容を紹介する。
MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2020年1月30日、大阪市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 大阪」を開催した。同セミナーは通算で13回目、大阪での開催は4回目となる。
本稿では前編でパナソニック モビリティソリューションズ担当参与 村瀬恭通氏による基調講演「クルマ中心から人中心のまちへ 変革するモビリティへの挑戦」の内容を紹介する。後編では、住友ゴム工業 製造IoT推進室長 山田清樹氏と同社 製造IoT推進室 金子秀一氏による特別講演「製造現場におけるデータ分析事例のご紹介とIoTプラットフォームのグローバル展開について」と、日本OPC協議会 マーケティング部会 部会長の岡実氏によるランチセッション「OPC UAが注目されているのはなぜか?〜その背景と最新動向〜」の内容、さらにその他の講演内容について紹介する。
「Can」ではなく「Will」でビジネスモデルを変革する
パナソニックは2018年度に創業100周年を迎え、従来の家電を中心とした「モノ売り」のビジネスモデルから「くらしアップデート」企業として変革を進めている。
パナソニックの事業の変化について村瀬氏は「パナソニックは家電を祖業とし、家事労働からの解放を訴えて発展してきた。ただ、この100年の歴史を振り返っても、ハードウェアオリエンテッドの会社だった。ハードウェアをアップグレードさせていくことで売上高を伸ばすビジネスモデルだった。しかし、ハードウェアを売ることを中心に考えると毎年大きな進化がなくてもアップグレードが必要になり、結果として無駄な機能ばかり増えることになる。個人のニーズも多様化する中でグレードでは語れない世界が広がっており、これらに対応する意味でもアップグレードではなく、IoT(モノのインターネット)などを活用しアップデートをする発想になった」と語っている。
村瀬氏が担当する「モビリティソリューションズ」はこうした変革を象徴する取り組みの1つとして2019年に活動を開始した組織の1つである。従来のパナソニックの事業領域は基本的には「家の中」を対象としてきたが「くらし」を対象とするとその概念を広げる必要がある。「人の生活圏」としてのくらしを考えた場合「人の移動」も含めて最適な姿は何かを模索するのが「モビリティソリューション」の役割である。
「モビリティは大きな変革の時代にある。鉄道から自動車によるモータリゼーションの時代へと変化をし、今さらにCASE(コネクテッド、自動運転、シェアード、電動化)の時代へと入ろうとしている。変化からはチャンスが生まれる。そこでパナソニックとしてこのモビリティの変革に向き合うため、社長直轄組織としてモビリティソリューションズが生まれた。パナソニックでは社内カンパニー制を採用しているが、既存のカンパニーではどうしてもプロダクト中心の考え方になる。モビリティソリューションズは既存の枠組みから外し、ビジネスモデルを変革する『出島』として活動を進めている」と村瀬氏はモビリティソリューションズの位置付けについて語っている。
さらに取り組みの方向性として村瀬氏は「Can(できる)」ではなく「Will(そうありたい)」を重視するという。「技術オリエンテッドで考えるとどうしても『これができる』ということから積み上げて、製品やサービスを開発してしまいがちだが、それでは本質的な課題解決はできない。そうではなく『世の中をこう変えたい』という意思を起点とすることが重要だ。『Will』に寄せた取り組みが必要だと考えている」と村瀬氏は強調する。その例として、パナソニックが東京都内で展開する「100BANCH」を紹介する。「100BANCH」は、これからの時代を担う若い世代と共に次の100年につながる新しい価値の創造に取り組むための「Will」を聞く拠点として設立し、さまざまなプロジェクトを進めている(※)。
(※)関連記事:100年先の世界を豊かにする実験スペース「100BANCH」が1周年、昆虫食もあるよ!
村瀬氏は「若い世代の人に話を聞くと世の中をより良いものに変えたいということに強い意志を持ち、モチベーションとしている人が多いことに気付く。そういう人たちとの交流により新たな価値に気付くことができる」と意義を語る。
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