検索
特集

プラットフォーム戦略でデスクトップ版のSOLIDWORKSはどうなる? ブランドCEOに聞いた3DEXPERIENCE World 2020(2/3 ページ)

3DEXPERIENCEプラットフォームとつながり、できることの幅が格段に広がる「SOLIDWORKS」。年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2020」で発表された新たなポートフォリオ「3DEXPERIENCE WORKS」によってもたらされる可能性を感じつつも、いくつかの疑問も湧いてきた。その答えを、SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏に聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena

なぜプラットフォームが必要なのか?

 インタビューの冒頭、なぜプラットフォームが必要なのか? その背景、そして、SOLIDWORKSと3DEXPERIENCEプラットフォームのつながり、展開の仕方について、あらためて次のように説明した。

バッシ氏 これから先の未来のモノづくりにおいて、「統合」「自動化」といったものが、個別のプロダクトそのものよりも重要になっていくだろう。そのためには、プロダクト思考からプラットフォーム思考への移行が不可欠だ。

 実は、SOLIDWORKSのデスクトップ版は、2019年に世界累計100万ライセンスを記録した。そうした中、プロダクト思考からプラットフォーム思考への移行を支援するには、SOLIDWORKSを完璧にプラットフォームに統合することが最善であると判断した。

 今回発表した3DEXPERIENCE WORKSというポートフォリオの中で提供する、3つのオファー(Standard、Professional、Premium)には、3DEXPERIENCE対応のSOLIDWORKSなどに加えて、プラットフォームにつなげるための仕組みが組み込まれている。

日本のメディアからの取材に応じるバッシ氏
日本のメディアからの取材に応じるバッシ氏[クリックで拡大]

バッシ氏 また、こうした展開にはシンプルさも重要だ。(ロールという概念に基づき)できるだけ、シンプルに使ってもらえるように考えた。これからは(従来のデスクトップ版SOLIDWORKSの販売に加えて)、3DEXPERIENCE対応のSOLIDWORKSを内包する3DEXPERIENCE WORKSというポートフォリオを販売していくことになる。

SOLIDWORKSのデスクトップ版はどうなるの? ブランドCEOに聞いた

 続いて、筆者とバッシ氏との質疑応答の内容を紹介する。

――3DEXPERIENCEプラットフォーム対応によって、SOLIDWORKSのデスクトップ版は近い将来なくなってしまうのか?

バッシ氏 まず、計画として、現在広く使われているSOLIDWORKSのデスクトップ版の提供をやめることは考えていない。ただし、SOLIDWORKSを3DEXPERIENCEプラットフォームに載せること、つなげることによるメリットは非常に大きなものになる。そのため、かなり早い段階から既存のデスクトップ版から、3DEXPERIENCE対応のSOLIDWORKSへの移行が始まるのではないかとみている。

――今後登場する新しい機能(アプリケーション)などは、全て3DEXPERIENCE WORKSのロールの中に組み込まれる形で提供されるのか?

バッシ氏 その通りだ。基本的には今後登場する新しい機能などはロールに内包されるアプリケーションという形で、3DEXPERIENCEプラットフォーム上で提供されていくことになるだろう。

――そもそもクラウドどころか、3次元を中心としたモノづくりも完全に浸透し切れていないような現場に、プラットフォーム思考は受け入れられるのか?

バッシ氏 まず言えることは、これからのビジネスにおいて、イノベーションを創出できなければ生き残ることは難しい。もし、伝統的な企業がプラットフォーム思考による変革のチャンスを見逃してしまったら、ビジネスが成り立たなくなってしまうかもしれない。今後、プラットフォーム思考にシフトする企業がたくさん出てくることになるだろう。もし、そうなったときに、小売業などの実店舗がアマゾン(Amazon.com)に負けてしまったのと同じことがないよう、考え方そのものを変えていく必要があるのではないか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る