クボタが目指すスマート農業、「もうかる農業」をどう実現するか:IIFES2019(2/2 ページ)
オートメーションと計測の先端総合技術展「IIFES2019」(2019年11月27〜29日、東京ビッグサイト)のキーノートセッションに、クボタ特別技術顧問工学博士の飯田聡氏が登壇。「クボタの目指すスマート農業」をテーマに、同社のスマート農業への取り組みを紹介した。
農機の自動化がもたらすもの
これらと並行して農機の自動化も進めている。農機の自動化は農水省の安全ガイドラインによると人が乗って手放し運転を行う程度がレベル1となる。レベル2は有人監視での自動化・無人化(有人機-無人機での協調運転が可能)。レベル3は遠隔監視での無人運転(農道《公道》走行、無人機での複数協調運転を含む)となる。クボタではレベル1対応のトラクタ、コンバイン、田植え機をそろえており、レベル2でもアグリロボトラクタ「SL60A」(60馬力)を2017年9月にモニター販売した。RTK-GPSユニットを用いた高精度な無人運転(監視は必要)で、さらに作業者1人で無人機と有人機を使用した2台協調運転が可能だ。
トラクタを走行させ圃場の外形を記憶させることで、四角の圃場だけでなく変形した圃場にも対応する。オートステアも装備しており搭乗時も作業ストレスが少ない。4台のカメラ、レーザースキャナー、超音波ソナーなどによる多彩な安全機能「農業機械の自動走行に関する安全確保ガイドライン」に対応している。
ただ「自動・無人化農機の普及に向けては、それぞれのレベルで課題もある」と飯田氏は語る。レベル2では無人化のための圃場基盤整備が必要になる。また、圃場全域での無人化を進めるためには、圃場間通路、圃場境界の安全対策が必要だ。さらに「農村での情報ネットワークの整備、GSS基地局または準天頂衛星活用のためのインフラ整備、安全対策の高度化、適応作業の拡大などが課題として残る」(飯田氏)。
レベル3では、さらに遠隔監視のための圃場基盤・農道の整備、5Gを含む農業用高速通信インフラ整備、トラクタのインプルメント装着状態での走行など道路交通法の緩和などが求められる。
クボタではこうしたスマート農業により、もうかる農業を実現し、所得倍増を目指す。並行して軽労・省人化を進め、きつい作業からの解放などの働き方改革を推進する。環境負荷の低減(減肥・減農薬、有機栽培への適合)、農業の多面的な機能の維持(ロバスト&サステナブル)による耕作放棄地の活用などの価値を提供していく方針だ。
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