SOLIDWORKSユーザーが求める機能を1口サイズで提供する「3DEXPERIENCE WORKS」:3DEXPERIENCE World 2020(3/3 ページ)
3次元設計ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2020」において、プラットフォーム思考による変革を後押しする「3DEXPERIENCE WORKS」の詳細が明かされた。SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏の講演内容を詳しく見ていこう。
面倒な定型業務はAIで、他とは違うジェネレーティブデザインも!?
一方で、業務効率化(時間の節約)の観点から、3DEXPERIENCE WORKSで提供するアプリケーション/ロールの強化も進めている。具体的にはAI(人工知能)を活用し、非常に手間と時間のかかる設計の定型業務を自動化するというアプローチだ。既に、3D Creatorに含まれるxDesignに機械学習を活用した機能(SELECTION HELPER、SKETCH HELPER)が組み込まれているという。さらに2019年末にはアセンブリを行う際、部品を近づけるだけで自動でどこで合致させるかを選んでくれる「MATE PREDICTOR」がxDesignに搭載されている。「こうした反復作業や膨大な単純作業などはマシンにまかせて、人間はもっと意味のあることに自らの思考を使うべきだ」(バッシ氏)。
さらに今後加わる予定(2020年夏)のロールとして、Webブラウザ上から板金設計が行えるアプリケーションを含む「3D SHEET METAL CREATOR」、ビジュアルプログラミングベースの設計が可能な「3D PATTERN SHAPE CREATOR」、そして「FUNCTION DRIVEN GENERATIVE DESIGNER」を紹介。特に、FUNCTION DRIVEN GENERATIVE DESIGNERは最も注目すべきものだとし、バッシ氏は「単なる形状最適化でもなければ、一般的なジェネレーティブデザインとも異なる。真のマルチシナリオ、マルチフィジックスによる形状合成技術だ。このレベルのものはおそらく世の中にまだない」と自信をうかがわせる。果たしてどの程度のレベルのものなのか? 「CATIA」で提供されているFUNCTION DRIVEN GENERATIVE DESIGNERとどのように違うのか? この点については、機会を見つけてイベント期間中にあらためて取材してみたいと思う。
SOLIDWORKSを核に設計の未来に向けて進化
そして、講演の後半であらためてバッシ氏はプラットフォームの価値、3DEXPERIENCE WORKSの利点を次のように説明した。「プラットフォームにより無限のスケーラビリティが発揮できるようになる。3DEXPERIENCE WORKSにより必要な部分を1口ずつ拡張できる。その可能性に限界はない。そして、何よりも重要なことは、3DEXPERIENCE WORKSの核となるのはSOLIDWORKSにほかならない。だからこそ設計の未来に向けた進化が遂げられる」(バッシ氏)。
今回発表した3DEXPERIENCE WORKSについては、含まれるロールや3DEXPERIENCE SOLIDWORKSのグレードによって「Standard」「Professional」「Premium」が用意されており、新規で3DEXPERIENCE WORKSをいきなり導入するような場合などでも、すぐにプラットフォームによる効果や価値が実感できるという。また、2020年3月3日までの期間、既存のSOLIDWORKSユーザー向けに、3D Creator、3D Sculptor、あるいは3D Creatorと3D Sculptorのセットを特別価格で提供するキャンペーンも実施中とのことだ。3DEXPERIENCE WORKSのロールごとの販売開始時期や価格など、細かな部分は現時点で不明だが、北米から提供を開始し、順次拡大していく計画だという。
繰り返しになるが、今回はSOLIDWORKSユーザーの視点に立ったときに、プラットフォーム(3DEXPERIENCE WORKS)がどのような価値をもたらしてくれるのか? そして、それをどのような形式で自分たちの業務の中で使うことができるのか? という点が、前回よりも明確に示されたのではないだろうか。もちろん、初日のゼネラルセッションの内容だけでは、情報の過不足や現時点で認識が足りていない点もあるかもしれないが、3DEXPERIENCE WORKSというプラットフォーム活用の枠組みが登場したことで、SOLIDWORKSでできることの幅が格段に広がることに間違いはないだろう。
ただ、そういう大きな可能性を感じる半面、既存のSOLIDWORKSユーザーがそれをどこまで求めているのか、日本で受け入れられるのかという点も気になるところではある。そういった点も含めて、イベント後半の取材を進めていきたい。
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