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生産計画立案の「なるべく」や「できるだけ」をAIで自動化、ニチレイが日立と協創製造ITニュース(1/2 ページ)

ニチレイフーズと日立製作所は、ニチレイフーズの国内工場向けに、日立製作所のAI技術を活用した生産計画と要員計画の自動立案システムを開発したと発表。ニチレイフーズのモデル工場となる4工場で検証を進め、2020年1月から順次本格運用を開始している。今後は2020年度内をめどにニチレイフーズの11の国内工場全てに導入する方針だ。

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 冷凍食品大手のニチレイフーズと日立製作所は2020年2月4日、東京都内で会見を開き、ニチレイフーズの国内工場向けに、日立製作所のAI(人工知能)技術を活用した生産計画と要員計画の自動立案システムを開発したと発表した。ニチレイフーズのモデル工場となる4工場で検証を進め、2020年1月から順次本格運用を開始している。今後は2020年度内をめどにニチレイフーズの11の国内工場全てに導入する方針で、その後海外上場への展開も視野に入れている。

ニチレイフーズの安居之雅氏(左)と日立の柳田貴志氏(右)
ニチレイフーズの安居之雅氏(左)と日立の柳田貴志氏(右)(クリックで拡大)

 今回開発した生産計画と要員計画の自動立案システムは、これまで熟練者が担当してきたニチレイフーズの工場の生産計画と要員計画について、複雑な制約条件を考慮するとともにAI技術を組み合わせることにより自動化を可能とするものだ。システムの導入により、これら計画立案にかかっていた業務時間を10分の1に短縮する効果が期待されている。

ニチレイフーズにおける生産計画立案のイメージ
ニチレイフーズにおける生産計画立案のイメージ。従来は熟練作業者が経験則に基づく勘で計画を選択していたが、日立のAI技術を用いて自動化することができた(クリックで拡大) 出典:ニチレイフーズ

 ニチレイフーズ 技術戦略部長の安居之雅氏は「冷凍食品の日々の生産は、原料や生産物をさまざまに入れ替える必要がある。1工場で最大16兆通りにもなる組み合わせの中から、熟練作業者の経験則に基づく勘で最適な生産計画を選択していたのがこれまでの実情だった。しかし、熟練作業者への負担が大きいことや、人材不足の中でその技術伝承を進めることは大きな課題になっていた。そして、要員計画についても同様の課題を抱えていた」と語る。

 同社は、受発注から、生産管理、入出庫や保管に至るまで生産に関わるシステムの多くを独自で開発している。「顧客の要望に応えるニチレイのモノづくりのこだわりを実現するために必要と考え、自社で生産管理システムを開発できる人材育成を含めて体制を整えてきた。その中でシステム化できていなかったのが、生産計画と要員計画のシステムだった」(安居氏)という。

ニチレイフーズの生産に関わるシステム
ニチレイフーズは生産に関わるシステムの多くを独自で開発しているが、生産計画と要員計画はシステム化できていなかった(クリックで拡大) 出典:ニチレイフーズ

 生産計画の立案では、前提条件となる販売見込みや在庫情報の他、法規制や品質担保、労働安全性といった必ず満たさなければならない絶対条件がある。これらの条件だけであればロジックの組み立てによるプログラミングでシステムを構築できる。しかし、実際には生産ラインの特徴、要員の状況といった複合的な裁量条件を踏まえて熟練作業者が勘と経験で最適な生産計画を立案している。安居氏は「『なるべく』や『できるだけ』といった裁量条件はロジックプログラミングでは再現できないが、システム化するためには必要だ。そこで、さまざまな候補の中から日立のAI技術が最適と考え、協力を依頼した」と説明する。

裁量条件への対応が課題裁量条件の自動化を日立のAI技術で実現 生産計画システムを開発するには裁量条件への対応が課題になる(左)。『なるべく』や『できるだけ』といった裁量条件の自動化を日立のAI技術で実現した(右)(クリックで拡大) 出典:ニチレイフーズ

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