進むプロセス産業のデジタル変革、DX支援企業の立ち位置目指すAVEVAの挑戦:製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)
プラントや造船業界向けのCADソフトなどを展開するAVEVAは、シュナイダーエレクトリックのソフトウェア部門との合併により、製品ライフスタイル全域をカバーしデジタル変革を支援する総合ベンダーへと転身を図っている。日本での取り組みについて、AVEVA日本法人の日本統括代表である小暮正樹氏に話を聞いた。
プラントや造船業界向けのCADソフトなどを展開するAVEVAは、フランスのSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)のエンジニアリングソフトウェア部門を一体化し、2018年から新体制での展開を進めている。日本でも一体となった取り組みを強化すると同時に、ライセンス型からサブスクリプション型サービスへの切り替えを推進。プロセス型製造業がデジタル変革(DX)への取り組みを進める中で、これらを支援するキープレイヤーへの転身に取り組んでいる。同社の現状と日本での取り組みについて、AVEVA日本法人(アヴィバ)の日本統括代表である小暮正樹氏に話を聞いた。
“CADのみ”からモノづくりの全範囲をデジタル化
AVEVAは1967年に英国で創業したソフトウェアベンダーである。主にプラントや造船など大型設備向けのCADソフトを展開し、グローバルで展開してきた。一方でシュナイダーエレクトリックでは、2014年にInvensys(インベンシス)を買収し、同社が展開してきた、プロセス設計とエンジニアリングソフトである「SimSci」、アセットパフォーマンスマネジメントソフトの「Avantis」、SCADAソフト「Wonderware」、生産スケジュール管理ソフトの「Spiral」などを展開してきた。
シュナイダーエレクトリックでは2017年にAVEVAを買収したが逆に、AVEVA側にこれらの産業用ソフトウェアの展開を統合し、2018年からは一体での取り組みを進めている。日本でも2018年4月に両社の日本法人を合併した。これにより、プラントやプロセス製造業において、設計から調達、建設、運転の最適化、メンテナンスから改善まで、一連のライフサイクルをカバーするポートフォリオを構築できるようになったという。これにより、AVEVAでは、従来の“プラントCADベンダー”ではなく、プロセス製造業へのDX支援企業としての立ち位置へと変革を目指している。
AVEVAのカバーエリア(青)とシュナイダーエレクトリックのカバーエリア(緑)。両社のポートフォリオを組み合わせることで、プラントにおけるエンジニアリングチェーン全域をカバーできる(クリックで拡大)出典:AVEVA
小暮氏は「AVEVAは“CADの会社”というイメージを持たれており、DXのキープレイヤーとしての位置付けではなかった。設計部門への提案は進めているため浸透はしているが、その他の領域では知られているとはいいがたい状況だった。逆に旧シュナイダーエレクトリック側のソフトウェアの提案では、設計領域への提案はそれほど行っていなかった。しかしポートフォリオだけを見ると、一連のモノづくりのライフサイクル全てをカバーできている。ユーザー企業の話を聞いても、実は設計だけではなくモノづくりのプロセス全体のデジタル変革で困っているという声も増えてきている。こうした声に応えることで新たな価値提供が可能になる」と語っている。
サブスクリプションモデルで展開
また、ポートフォリオの拡充による提案拡大に加え、従来のライセンス型からサブスクリプション型へとビジネスモデルの変化を推進。「2020年3月までに4割がサブスクリプション型へと切り替えが進む見込み」(小暮氏)としている。
サブスクリプション型への切り替えについて小暮氏は「石油やガス産業において、EPC(Engineering、Procurement、Construction)によるプロジェクト型が中心となってきており、プロジェクト期間で契約する形が増えてきている。必要なソフトウェアが固定費から経費として位置付けられる中で、サブスクリプション型が求められている状況がある」と語っている。
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