データムを必要とする幾何公差【その4】〜姿勢公差の輪郭度〜:産機設計者が解説「公差計算・公差解析」(11)(2/3 ページ)
機械メーカーで機械設計者として長年従事し、現在は3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者が公差計算や公差解析、幾何公差について解説する連載。第11回はデータムを必要とする幾何公差をテーマに、姿勢公差の輪郭度について取り上げる。
1−4−2.面の輪郭度(Profile of a surface)
- 公差域の定義(JIS原文、以下同様)
面の輪郭度とは、理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさをいう。なお、データムに関連する場合と関連しない場合とがある。
面の輪郭度は、理論的に正確な寸法によって定められる幾何学的輪郭面(Fr)上に中心を持つ同一の直径の幾何学的に正しい球(以下、幾何学的球という)の2つの包絡面でその面の輪郭(F)を挟んだときの、2包絡面の間隔(f)(球の直径)で表し、面の輪郭度_mmまたは面の輪郭度_μmと表示する。ただし、理論的に正確な寸法は、データム線またはデータム面に関して与える場合と、それらと関係しないで与える場合とがある。
※包絡面:ここでは、輪郭面の全てに接する曲面のことをいう。
補足説明:
面の輪郭度は、曲面(輪郭面)のバラつきを3次元の立体的な公差域で規制します。「意匠面(デザイン)など曲面(表面)が設計者の意図した通りにできているか」を指示するものです。面の輪郭度は、線の輪郭度が指定の曲面を切断した断面の線であったのに対して、指定曲面全体が対象になります。
以下に、面の輪郭度の使用例を示します(図4)。
実測した表面は、直径(SΦ)0.1mmの球の2つの包絡面によって規制される公差域になければならないことを示しています。その包絡面を作る球の中心は、理論的に正確なR125mmの曲率半径を持ち、かつデータム平面Aに対して理論的に正確な輪郭を成す面上にあります。実測した輪郭面には、幾何学的形状の規制と、データム平面Aに対して姿勢の規制が課されています。
- データム平面A:輪郭度公差域の姿勢(平行移動)を規制
- データム平面B:データムBに対する公差域の方向(データムBに対する直角方向)を規制
以上、姿勢公差の輪郭度について取り上げました、輪郭度は姿勢公差として扱うと、その解釈はそうでないものよりも難解に感じます。
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