製造業がサブスクリプションに踏み出す上で理解すべき3つのポイント:サブスクで稼ぐ製造業のソフトウェア新時代(3)(3/3 ページ)
サブスクリプションに代表される、ソフトウェアビジネスによる収益化を製造業で実現するためのノウハウを紹介する本連載。第3回は、サブスクリプションや従量制に代表される新しいビジネスモデルに移行する上で理解しておくべき3つのポイントを紹介する。
3.最新のライセンス管理技術がサブスクリプションビジネスの実現を容易に
それでは、ライセンス契約通りに履行させて完全なサブスクリプションを実現し、なおかつ市場のニーズに応じて、ビジネスモデルを柔軟に変化させるためのソリューションはどのように実現すればよいのだろうか。
最新のライセンス管理技術は、あらかじめ計画したビジネスプランに応じてソフトウェアの機能を個別にコントロールし、ライセンスをアクティベート(有効化)することで、ライセンス契約通りに利用を制御させることが可能だ。オンライン、オフラインなどソフトウェアの動作環境に影響することなく、サブスクリプションビジネスを実現できる。
ソフトウェアには特定のライセンスモデルを意識した実装を行う必要はない。収益対象の機能ブロックごとに、制御するだけでライセンシング処理を行える。ソフトウェアはライセンスの内容に応じて挙動をコントロールできて、トライアルであれば期日設定や期間設定で定められた期限まで動作することを可能とし、延長する場合は追加のライセンスが必要だ。
ライセンスを更新するだけで、ソフトウェアの利用を多彩にコントロールできて、あらゆるタイプのビジネスモデルに対応可能だ。トライアル状態のソフトウェアもサブスクリプション型にすぐさま変更できて、顧客が一部機能の追加ライセンスの購入を望めば、すぐにでも対応できる。ライセンス履行のデジタル化によって、顧客はインターネットさえあればいつでもどこでも、利用したいときに自分でライセンスを入手できて、すぐにソフトウェアを使うことができる。
同一ネットワーク内の同時起動数制御や、繁忙期に起動可能なデバイス数の一時的な増加、別デバイスへのライセンス移行などもスムーズに対応できる。
セキュリティも確保されており、デバイス側の時間設定を巻き戻して残り利用期間を伸ばそうとしたり、ライセンスを複製して契約数以上のデバイスを稼働させようとしたりしても、不正を検知したライセンスは即座に無効化される。ライセンス履行のための厳密なコントロールの実施により、契約外の不正な利用を排除できる。
クラウド型のライセンス管理技術であれば、顧客の手元のデバイスのライセンスをダイナミックに更新したり制御したりできるようになる。クラウドでソフトウェアの利用状況を収集することによって、市場の動きを把握し、顧客動向を可視化し、顧客との接点を持ち続けることによって、顧客満足度を追求したビジネスを展開できる。さらに、サブスクリプションの契約代金が未払いのままの顧客に対しては、ライセンスの利用期間制限や、クラウドからライセンスをリモート制御して無効化することも可能にする。
デジタルトランスフォーメーションに対応した最新のライセンス管理技術は、市場の動向や顧客ニーズに応じて、ビジネスモデルの変更をいつでもスピーディーに適応可能になる。グローバルにサブスクリプションビジネスを展開でき、利用状況を把握することによって顧客満足度を向上させることに注力できるというわけだ。
サブスクリプションのようなサービスビジネスの成功に重要なポイントは、顧客満足度を常に高水準で保ち続けることにある。そこで次回は、デジタルトランスフォーメーションを実現させる要素の一つである、カスタマーエクスペリエンスを追求して顧客満足度を向上させるにはどのような手段を取るべきなのか、具体的な内容について紹介していきたいと思う。
筆者プロフィール
前田 利幸(まえだ としゆき) タレス・グループ(日本セーフネット株式会社/ジェムアルト株式会社) クラウドプロテクション&ライセンシング ソフトウェアマネタイゼーション事業本部 シニアアプリセールスコンサルタント ビジネス開発部 部長
ソフトウェアビジネスに取り組む企業に対して、マネタイズを実現するためのコンサルティングやトレーニング、ソリューション提案を実施。全国各地で収益化に関するセミナーや講演活動を展開。IoT関連企業でシニアコンサルタントを経て現職。同志社大学 経営学修士(MBA)。二児の父。
https://sentinel.gemalto.jp/software-monetization-solutions/
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