ガラス製マイクロ化学チップを安価に量産、パナソニックがレンズ生産技術を応用:FAニュース(1/3 ページ)
パナソニックとマイクロ科学技研は、環境センシングや血液検査、製薬用装置などに用いられているガラス製のマイクロ化学チップをガラスモールド工法で量産する技術を共同開発した。従来のフォトリソグラフィーとエッチングによる工法と比べて、大量生産が可能になるとともに、約10分の1の低コスト化、約10倍の高精度化も実現できるという。
パナソニックとマイクロ科学技研は2019年11月6日、東京都内で会見を開き、環境センシングや血液検査、製薬用装置などに用いられているガラス製のマイクロ化学チップ(マイクロ流路チップ)をガラスモールド工法で量産する技術を共同開発したと発表した。従来のフォトリソグラフィーとエッチングによる工法と比べて、大量生産が可能になるとともに、約10分の1の低コスト化、約10倍の高精度化も実現できるという。今後は、2019年度内に試作受注を開始し、2020年度以降の量産化を目指す。
マイクロ化学チップとは、数cm角のガラスや樹脂の基板上に、数十〜数百μmの幅の流路を作り込みんだものだ。一般的にはフラスコやメスピペット、分液ろうとなどを使って行う混合、反応、分離、抽出、合成、検出などの化学プロセスを、マイクロ化学チップ内で集積して行えることを特徴としている。
マイクロ化学チップの基礎となるマイクロ流体工学(マイクロフルイディクス)研究の第一人者として知られる東京大学大学院 工学系研究科応用化学専攻 教授の北森武彦氏は「電気回路を1つのチップに集積した半導体と同様の技術革新だ。今まで、専門技術者でも半日かかっていた化学プロセスを、非専門家でも分や秒単位で行えるようになる。分析に必要な試料量も従来はml(リットル)単位だったものがμl単位で済む」と利点を説明する。
マイクロ化学チップを活用すれば、指先から1滴程度の血液を採取するだけで血液検査が可能になり、家庭での体調診断を日々行えるようになる。また、飲み水の重金属汚染検査であれば、従来の分析装置と比べて1000倍高感度で200倍速く判明するという。
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