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データで見る日本の製造業、日本を取り巻く3つの潮流:ものづくり白書2019を読み解く(1)(2/5 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2019年版ものづくり白書」が2019年6月に公開された。本連載では3回にわたって「2019年版ものづくり白書」の内容を掘り下げる。第1回では「第1章 平成の製造業とものづくり白書の変遷」「第2章 日本のものづくり産業が直面する課題と展望」を中心に、日本の製造業の現状について整理した上で、日本の製造業を取り巻く3つの潮流を概観する。
日本の製造業の業績動向
それでは、製造業の現在の業況についてはどうだろうか。企業の全般的な業況を示す日本銀行の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)の業況判断DIを見ると、大企業の製造業は、2013年半ば以降プラス圏で推移している。2018年以降を見ると米中貿易摩擦への懸念や原材料価格の上昇などを背景に押し下がったものの、直近では横ばいとなっている。中小製造業においては、2017年半ば以降、横ばいの状況が続いている(図6)。
また業績に関連する製造業の認識を確認すると、売上高、営業利益とも増加傾向にあるものの、1年前と比べると増加傾向は弱まっている(図7、図8)。
規模別で見ると、売上高、営業利益ともに、大企業と中小企業とは同程度の増加傾向にある(図9、図10)。
今後3年間の国内外の業績見通しについては、直近での通商問題の動向や、中国経済の先行き不透明感などの影響もあり、「前年と比べると増加見通し」と回答する企業の割合は減少している(図11、図12)。
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