公道での自動運転実証では最速の時速18km、信号情報を取得し円滑に止まる:CEATEC 2019
CEATEC実施協議会は「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)の企画の一環としてレベル3相当の自動運転を公道で行う「スマートモビリティイノベーション」を実施。CEATEC会場周辺の公道を一般客を乗せて運行する。会期に先立ち2019年10月14日には出発式を開催した
CEATEC実施協議会は「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)の企画の一環としてレベル3相当の自動運転を公道で行う「スマートモビリティイノベーション」を実施。CEATEC会場周辺の公道を一般客を乗せて運行する。会期に先立ち2019年10月14日には出発式を開催した(※)。
(※)関連記事:ハンドルなし自動運転バスで公道実証、一般車両に混じって走行
ハンドルなしの電動バスで自動運転
今回の公道実証は、ソフトバンクの子会社のSBドライブが車両の提供、運行を行う。車両にはフランスのNavya製のステアリングや運転席がない電動バス「NAVYA ARMA」を使用した。「NAVYA ARMA」は、GPSなどによる自車位置測定と、3D LiDARなどによる障害物検知により、設定されたルートを低速で自律走行する。走行速度や車両に設置されたセンサーによる障害物の検知範囲などを、SBドライブが走行環境に合わせて設定している。
走行情報は、SBドライブが提供する自動運転バス運行プラットフォーム「Dispatcher」と連携させ同プラットフォームを通じてCEATEC会場周辺の1.5kmの周回コースを1周15分で走行する。速度は時速18kmを想定しており「国内の公道でのレベル3自動運転の実証では最速となる」(SBドライブ 代表取締役社長兼CEOの佐治友基氏)。
時速18kmと一定以上の走行速度となるため乗客の安全性確保の面で制動動作を滑らかに行う必要があるが、今回は日本信号との協力により信号情報を取得。これにより走行ルート上の信号7基からの情報と自社の速度から急制動なしに安定した停止が行えるようにできたという。
実証を行う千葉市は国家戦略特区に位置付けられており技術実証に積極的な取り組みを見せている。ただ現実的には自動運転については法制度上のさまざまな問題がある。「NAVYA ARMA」には運転席がないが、運転手を置かないわけにはいかないため、SBドライブの社員が同乗し、ステアリングなどの位置付けとなるゲームコントローラーを常に握っておくという。この状況でレベル3自動運転(条件付き運転自動化)を実現したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ハンドルなし自動運転バスで公道実証、一般車両に混じって走行
ソフトバンク子会社のSBドライブは2019年9月20日、「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、幕張メッセ)において、CEATEC実施協議会が実施する自動運転バスの実証実験に協力すると発表した。 - レベル3の自動運転の普及は伸び悩む? 提案は無人運転シャトルや小口配送に
「レベル3のシェアは2030年から横ばい」という市場予測を反映してか、2019年のCESでは無人運転車に関する展示が多くみられた。ドライバーが運転に復帰する必要のあるレベル3の自動運転と、システムが全ての動的運転タスクを担うレベル4〜5。それぞれについて、2019年は法的な議論や技術の熟成が一層進みそうだ。 - 1社では難しい「レベル4」、オープンソースの自動運転ソフトが提供するものは
「人とくるまのテクノロジー展2018」(2018年5月23〜25日、パシフィコ横浜)の主催者企画の中から、ティアフォーの取締役で、名古屋大学 未来社会創造機構 特任教授でもある二宮芳樹氏の講演を紹介する。 - なぜ“自動運転”の議論はかみ合わない? レベル3とレベル4を分けるのは
「人とくるまのテクノロジー展2018」の主催者企画の中から、筑波大学 システム情報系 教授である伊藤誠氏の「自動運転」に関する講演を紹介する。 - 開発加速するLiDAR、レベル3の自動運転に向けて
レベル3の自動運転システムに向け、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)の開発が加速している。サプライヤー各社がライダーの量産を開始する時期は、2020年ごろに集中する見通しだ。「人とくるまのテクノロジー展2018」にサプライヤー各社が出展したライダーを振り返る。