ドライブレコーダーからIoT機器市場に参入、JVCケンウッドの強みとは:製造業IoT(1/2 ページ)
IoTとエッジAIの技術イベント「Qualcomm Thundercomm IoT Tech Forum 2019」で、JVCケンウッド メディア事業部 技術本部 開発部 部長の前田修一郎氏が登壇。同社がシェアを拡大させているドライブレコーダーのカメラ技術や、その技術を基にしたIoT機器市場への参入について紹介した。
クアルコムと、同社とサンダーソフトの合弁会社Thundercommは2019年7月31日、東京都内でIoT(モノのインターネット)とエッジAI(人工知能)の技術イベント「Qualcomm Thundercomm IoT Tech Forum 2019」を開催。同イベントのユーザー講演として、JVCケンウッド メディア事業部 技術本部 開発部 部長の前田修一郎氏が登壇し、同社がシェアを拡大させているドライブレコーダーのカメラ技術や、その技術を基にしたIoT機器市場への参入について紹介した。【訂正あり】
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ドライブレコーダーの国内シェアは25%
2008年にケンウッドと日本ビクターの事業統合で発足したJVCケンウッドは現在、オートモーティブ、パブリックサービス、メディアサービスなどの分野で事業を展開している。ケンウッドと日本ビクターとも映像や音響の分野で長年積み重ねてきた技術がある。映像、光学、イメージセンサー、音響、符号化、無線・ネットワーク、材料・デバイス、車載(カーエレクトロニクス)などで、これらが先行開発のための要素技術になっている。
これらの保有技術から生まれ、現在同社のヒット商品となっているのがドライブレコーダーである。前田氏は「カー製品とビデオカメラの専門メーカーという強みを生かして、2014年に市場参入し、現在は約25%の国内シェアを獲得している」と語る。
右肩上がりで伸びている国内ドライブレコーダー市場だが、単価が伸びている点でも特徴的だ。「2014年の参入時点で市販品の平均単価は約1万2000円だった。市場拡大すると値下がりするのが一般的だが、現在は値上がりしている。だからこそ当社の持つ技術をさらに入れ込める」(前田氏)という。
ドライブレコーダーで特に強みになっているのが、ビデオカメラ関連の技術だ。ただ単にビデオカメラを内製するだけでなく、映像を処理するためのSoC(System on Chip)も設計してきた。さらには、レンズ、イメージセンサー、ISP(Image Signal Processor)などビデオカメラを構成する要素部品の全てで自社開発の実績があるという。ドライブレコーダーでは、こられの技術を基にした画像チューニングが最大の特徴になっている。
例えば自社設計レンズによって、ドライブレコーダーにとって重要な最適なフォーカス特性が得られる。また、画面内を480個のウィンドウに分割してそれぞれに重み付けを行うインテリジェント絞り制御機能により、車載カメラのあらゆる撮像シーンに最適な露出を実現できるという。さらに、豊富な車載機器の開発実績により、ドライブレコーダー以外の車載機器との電磁波干渉が起こりにくい回路設計ができることも強みになる。前田氏は「自動車メーカー向けに納入する場合は、このノイズ対策技術が極めて重要だ。当社は100項目以上の品質保証や信頼性の試験を行って、そういった要求に応えている」と述べる。
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