モビリティ革命の推進力、日本の交通に変化をもたらす4つの先進的取り組み:交通政策白書を読み解く(後編)(3/6 ページ)
国土交通省は2019年6月に「平成30年度交通の動向」及び「令和元年度交通施策」(以下、交通政策白書2019)を公開した。今回は「モビリティ革命〜移動が変わる、変革元年〜」をテーマに、交通の動向や交通に関する施策を紹介している。
交通分野の自動化や省力化、無人化
交通政策白書2019では交通分野における自動化などの取り組みについて、より高い安全性の確保に加えて、効率化による生産性向上、さらには人手不足への対応など、さまざまな効果や影響を及ぼすものとしている。
自動運転
自動車の分野については、CASE(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング、E=電動化)と呼ばれる4つの技術革新や、これらの開発を支えるAI(人工知能)の進化により「100年に1度の大変革期」を迎えるといわれており、2025年ごろの高速道路での完全自動運転を目標とし、必要なルールづくりなどの取り組みや自動運転実証実験を推進している(図3、図4)。自動動運転の実現の段階になれば、MaaSをはじめとする新たなモビリティサービスとの相乗効果により、移動の利便性や効率性はさらに飛躍的に高まるとともに、特に、交通の担い手不足に悩む地方部において、高齢者などの有効な移動手段となることが期待できるという。
また、空港における地上支援業務(航空機の駐機、旅客や手荷物の取り扱いなどを行うもの)の労働力不足を背景として、官民が連携して先端技術の活用による地上支援業務の省力化、自動化を推進している。この取り組みの一環として、2018年12月以降、空港の制限区域内における自動走行の実証実験を実施している。具体的には、羽田空港、成田空港、中部空港、仙台空港において、8つの企業グループによる乗客や乗員などの輸送を想定した自動走行の実証実験を順次実施しており、実装に向けた取り組みを進めている(図5)。
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