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モビリティ革命の推進力、日本の交通に変化をもたらす4つの先進的取り組み交通政策白書を読み解く(後編)(1/6 ページ)

国土交通省は2019年6月に「平成30年度交通の動向」及び「令和元年度交通施策」(以下、交通政策白書2019)を公開した。今回は「モビリティ革命〜移動が変わる、変革元年〜」をテーマに、交通の動向や交通に関する施策を紹介している。

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 国土交通省は2019年6月に「平成30年度交通の動向」および「令和元年度交通施策」(以下、交通政策白書2019)を公開した。今回は「モビリティ革命〜移動が変わる、変革元年〜」をテーマに、交通の動向や交通に関する施策を紹介している。

 交通政策白書2019の第1部では交通を取り巻く社会や経済の動向、各分野の交通の輸送量やネットワーク、交通事業の動向について、第2部では、地方部の輸送人員の減少や都市部の交通混雑への対応といった交通の課題を分析するとともに、技術革新による社会やサービスの変化について整理し、交通分野におけるさまざまな先進事例の動向を紹介している。第3部では2015年2月13日に閣議決定した「交通政策基本計画」に盛り込まれた施策の進捗(しんちょく)状況や今後の取り組み方針を整理している。

 本記事の前編では、交通政策白書2019の第1部に示された交通の動向を概観した上で、第2部「モビリティ革命〜移動が変わる、変革元年〜」から交通における現在の課題について取り上げた。後編では前編の内容を踏まえながら、引き続き第2部から、新たなモビリティサービスや、交通分野の先進的取り組みについて掘り下げたい。

現在の交通における3つの課題と4つの先進事例

 本稿の前編で紹介したように、交通政策白書2019では、現在の交通における課題として下記の3つを挙げている。

  • 都市部と地方部の交通の課題
  • 人手不足、環境や安全への対応の課題
  • 技術革新による社会やサービスの変化への課題

 そして、これらの課題を解決する先進事例として下記の4つを紹介している。

  • MaaS(Mobility as a Service)
  • 交通分野の自動化や省力化、無人化
  • 環境負荷低減の取り組み
  • 次世代に向けた新しい取り組み

 本稿では、これらの先進事例それぞれについて詳しく見ていきたい。

MaaS(Mobility as a Service)

 MaaSとは出発地から目的地まで、利用者にとっての最適経路を提示するとともに、複数の交通手段やその他のサービスを含め、一括して提供するサービスのことを指す。ドアツードアの移動に対し、さまざまな移動手法やサービスを組み合わせて1つの移動サービスとして捉えるもので、ワンストップでシームレスな移動が可能となる。

MaaSのインパクトと日本で推進する必要性

 MaaSは、さまざまな移動手段や個々のサービスと価格を統合して1つのサービスとして価格を設定することにより、「統合一貫サービス」を新たに生み出すものであり、価格面における利便性の向上により、利用者の移動行動に変化をもたらし、移動需要や交通流のマネジメント、さらには供給の効率化が期待されている。さらに、小売や飲食などの商業、宿泊や観光、物流などあらゆるサービス分野との連携、医療や福祉、教育、一般行政サービスとの連携によって移動手段やサービスを高付加価値化するなどより一層の需要の拡大も期待されている。

 交通政策白書2019では、MaaSの利点として地方部における交通手段確保や、都市部における渋滞緩和や環境負荷低減、スマートシティーの実現などを挙げている(図1)。


図1:MaaS(クリックで拡大)出典:交通政策白書2019

 交通政策白書2019ではMaaSについて、日本の交通に関連するさまざまな課題の解決に加え、地域社会や経済、新たな都市の装置としての在り方、インフラ整備などにもインパクトをもたらす可能性があることから、現在あるいは将来に見込まれる社会的課題に的確に対応できるよう早急に検討を進め、効果的な社会実装をはじめ、有効と考えられる取り組みを柔軟かつ積極的に推進することが必要であると指摘する。

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