つながるクルマを支えるアカマイのエッジ基盤、自動車メーカーで導入が進む:製造業IoT
アカマイ・テクノロジーズ(以下、アカマイ)は2019年7月26日、東京都内で記者会見を開き、IoT(モノのインターネット)デバイスに向けたプラットフォーム「Akamai Edge Cloud」のサービス概要や導入事例を紹介した。
アカマイ・テクノロジーズ(以下、アカマイ)は2019年7月26日、東京都内で記者会見を開き、IoT(モノのインターネット)デバイスに向けたプラットフォーム「Akamai Edge Cloud」のサービス概要や導入事例を紹介した。強みである多接続性能や遅延の低さが評価され、自動車メーカーをはじめとする複数の製造業で採用が進んでいるという。【訂正あり】
【訂正】アカマイ・テクノロジーズの申し入れにより、初出時から本文および図版を変更しました(2019年8月5日15時30分追記)。
アカマイは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置き、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)サービスの大手事業者として知られる。CDNとは事業者が世界各地に設置したサーバに顧客のウェブコンテンツを配置し、コンテンツ配信で発生するトラフィックの分散や耐障害性を向上させるサービス。同社はCDNサービス事業で構築した約25万台にものぼるサーバ群を活用し、2019年6月からAkamai Edge Cloudプラットフォームの提供を開始した。
Akamai Edge CloudはIoTデバイスに向けて「Over The Air Updates」と「Edge Connect」の2ソリューションを提供する。Over The Air Updatesは、その名の通りOTA(無線ネットワークによるアップデート)機能を提供する、「個々のIoTデバイスをマネジメントするためのソリューション」(米Akamai プリンシパルプロダクトアーキテクト Rob Bird氏)だ。
多数のデバイスと接続できるキャパシティや、信頼性が確保できない通信環境であってもセキュアなソフトウェア更新を実現するなどの面が評価されているとし、自動車メーカー10社が採用しているとする。このうち日系メーカーは2社で、それ以外のメーカーとも話を進めている段階だ。「ある自動車メーカーは2019年中に4000万台のクルマをOTAで接続したいと言っている。われわれも2019年中に5500万台のクルマと接続する予定だ」(Bird氏)。
Edge Connectは、デバイスとのメッセージングやデータベース、デバイス管理機能などを、低遅延かつ高いセキュリティを確保した環境で提供するソリューションだ。同ソリューションのMQTT(Message Queue Telemetry Transport)ブローカーの規模は「世界最大」(Bird氏)。同氏は「20億個にも達するといわれる、将来のIoTデバイス市場規模にも合致する」と自信を見せる。
また、大手クラウドベンダーのIoTサービスと比較して、同ソリューションのMQTTメッセージングはISO 20922完全準拠やQoS(Quality of Service)レベル0〜2への対応、DDoS攻撃への耐性などの面で優位に立っていると同氏は主張。競合サービスでは制約が課されている、最大クライアント数やメッセージ数、メッセージ保持時間なども無制限もしくは制約が緩和されているとする。MQTTの他、HTTP経由のデータも同ソリューションで取り扱いでき、データは低遅延、高スループットなキーバリュー型データベースに格納される。
価格体系もシンプルなものとした。データフローに対して課金を行うシステムとし、「競合ベンダーは演算能力の使用量や同時接続デバイス数で決めるところもあるが、われわれはもっとシンプルで1バイトのデータを伝送したらその分課金する。顧客は簡単に請求金額を予測できる」とメリットを強調した。
Edge Connectの想定ケースとして、大手航空会社における空港デジタルサイネージとスマートフォンアプリへのフライト情報通知等が紹介された。また、コネクテッドカーの基盤としても活用されつつあるとし、自動車メーカー2社が採用済みであることを明かした。また、日系の複数メーカーと話が進んでいるとする。
Bird氏は、コネクテッドカーにおけるEdge Connectの性能として「車両ヘッドユニットとコネクテッドカープラットフォームを100ミリ秒以下のレイテンシで接続できる」と述べ、「(低遅延な同ソリューションを用いることで)車車間(V2V)通信もDSRC(狭域通信:Dedicated Short Range Communications)を必要としない形で実現したい」と意欲を示した。
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