AIの民主化だけでなく事業実装も推進、DataRobotから「AIサクセスプログラム」:人工知能ニュース(2/2 ページ)
機械学習自動化プラットフォームを展開するDataRobotは2019年7月23日、日本国内での事業展開の状況と、同年8月1日から提供を始める新たなサービス「AIサクセスプログラム」について説明した。
AI導入に3つのステージ、企業のAI民主化ステージも3つに分かれる
AIサクセスプログラムは、企業におけるAIの事業実装を進めるとともに、その企業内で新たにAIを活用するテーマを見いだしてAIの事業実装を拡大していく社内の仕組みづくりをサポートするものだ。
DataRobotは、AIの導入において「テーマ創出」「モデルの構築と検証」「ビジネス適用」という3つのステージがあると定義している。それぞれのステージに、必須条件や、さらなる加速を生み出す条件などがある。そして、企業内についても、AIの導入に関わるさまざまな担当者が存在する。これらの担当者は、各ステージで行うべき役割がある。
これらAI導入に関わる定義を前提として、企業側のAI導入の期待に基づく「テーマ推進」「組織への横展開」「AI-Driven企業」というAI民主化ステージに分け、それぞれの民主化ステージに合わせたサクセスプランを提案する。そして、このサクセスプランをベースに、AI導入のステージや担当者の役割に合わせて、これまでも提供してきたトレーニングプログラム「DataRobot University」や大企業向けの商品パッケージ「AI-Driven Enterprise Package」、新たに開発したサービスなどを適宜提供していく。これら全体をまとめたものがAIサクセスプログラムになる。
今回、AIサクセスプログラムの提供を始めることになったのは、2019年初から進めてきたカスタマーサクセスチームの組織立ち上げにめどがついたためだ。カスタマーサクセスチームは、顧客のビジネスゴールとサクセスプランの策定と管理を行うAIサクセスマネージャーと、AIの事業実装を担当するフィールドエンジニアから成る。「当社は優秀なデータサイエンティストが在籍することが特徴になっているが、AIの事業実装を成功させるにはまた別のスタッフは必要になる。また、最近の需要に合わせてデータサイエンティストも産業別に担当を置いているが、AIサクセスマネージャーも同様に産業別に担当を分けた」(シバタ氏)という。
AIサクセスプログラムに併せて提供するサービスとしては、「テーマ創出」のステージに対応する「AIテーマ創出ワークショップ」や、「モデルの構築と検証」のステージでデプロイ担当者に向けて展開する「運用化支援」などがある。
「AIサクセスプログラム」がパートナーと競合する可能性は?
AIサクセスプログラムは、これまで機械学習自動化プラットフォームというソフトウェアを提供してきたDataRobotが、AI導入のコンサルティングを手掛けるようにも感じられる。また国内SIerをはじめとするパートナーとの間で競合する可能性もある。
この問題については「コンサルのようなゼロスタートではなく、あくまでAI導入に向けたサクセスプラン作りが目的で、その後のサービスメニューも決まっている」(シバタ氏)、「DataRobotだけでのAIサクセスプログラムを進めるのではなく、パートナーにもこの仕組みを利用してもらいたい。既に説明もしている」(原沢氏)としている。
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