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エッジとAIを補完し合った新生クラウデラ、製造業への提案を強化製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

2019年1月、クラウデラ(Cloudera)とホートンワークス(Hortonworks)が合併し、新生クラウデラとして発足した。「Hadoopを用いたデータプラットフォーム」で競合関係にあった両社だが、エッジとAIという観点では互いの技術を補完し合っている。今後日本市場では、AIやIoTの活用が大きな課題になっている製造業への提案を強化する構えだ。

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 2019年1月、製造業の技術者からすると少し縁遠いと感じるかもしれない2つの米国IT企業が合併した。分散処理技術であるHadoopを用いたデータプラットフォームを展開するクラウデラ(Cloudera)とホートンワークス(Hortonworks)だ。合併後の企業名としてはクラウデラを引き継ぐが、企業体としては新生クラウデラとなった格好だ。

 両社は「Hadoopを用いたデータプラットフォーム」という観点では競合関係にあったが、データの集積や分析に用いるAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)に関わる技術については得意分野が異なっている。クラウデラがクラウド上でのAIや分析技術で優位性を持つのに対し、ホートンワークスはIoTとなるエッジからデータを収集する技術に独自性を有している。

 製造業を筆頭にさまざまな産業はIoTやAIの活用を喫緊の課題としている。新生クラウデラは、「Hadoopを用いたデータプラットフォーム」という意味では顧客基盤を拡大し、IoTとAIについては合併前2社の技術を相互に補完することで、より充実した提案を行える事業体制となった。

 以前はホートンワークスの所属で、現在は新生クラウデラ 製造・自動車業界担当事業部長のマイケル・ガー(Michael Ger)氏は「合併前の両社は競合する面もあったが、互いに補完し合ったことの方が重要だ。エッジに強いホートンワークス、AIに強いクラウデラが一緒になって、より完全なケイパビリティ(能力)を持った」と語る。また、以前はクラウデラの所属で、現在はクラウデラ アジア太平洋地域担当 CTOのアンドリュー・サルティス(Andrew Psaltis)氏も「全く同感だ。データプラットフォームとして競合していたが、互いに独立企業として完全ではなかった。しかしエッジのホートンワークス、機械学習とAIのクラウデラが一緒になることで、クラウドビジネスをエンドツーエンドでカバーできるようになった」と声をそろえる。

新生クラウデラのアンドリュー・サルティス氏(左)とマイケル・ガー氏(右)
新生クラウデラのアンドリュー・サルティス氏(左)とマイケル・ガー氏(右)

NXPがゲートウェイECU向けに採用

 新生クラウデラが注力している産業分野は、金融、製造業、通信、公共インフラ、ヘルスケア、官公庁系などだ。日本市場では、有力な企業が多数ある製造業への提案活動を強化していきたい考えだ。ガー氏は「エッジでデータを収集し、そのデータを基にクラウドなどで生成したAIを再度エッジにデプロイする。新生クラウデラであれば、AIやIoTの活用を進めたい日本の製造業が求める適切なソリューションを提供できる。これは、完全なソリューションであり、また唯一のものだ」と強調する。

 既に新生クラウデラのソリューションの採用も始まっている。大手車載半導体メーカーであるNXP Semiconductorsが2019年6月開催の自社イベント「NXP Connects」で披露した、車両のさまざまな情報を統括するゲートウェイECU(電子制御ユニット)に新たな“インテリジェンス”を組み込むプロトタイプに採用されたのだ。「当社のソリューションにより、ゲートウェイECUから車載データをクラウドにアップロードできるようになる。そしてクラウドの計算能力を活用してNXPとしての付加価値提供につなげることができる」(ガー氏)という。

NXP Semconductorsとクラウデラの協業内容
NXP Semconductorsとクラウデラの協業内容(クリックで拡大) 出典:クラウデラ

 これらの新たなソリューションの鍵となっているのが、ホートンワークスで開発されたエッジデバイス向けのソフトウェア「MiNiFi」と、MiNiFiからのデータを受け取るクラウド側の機能「NiFi」だ。このMiNiFiとNiFiにより、エッジとクラウド間におけるデータフローのライフサイクルを実現できるようになる。

 ガー氏はMiNiFiはファームウェア上で動作するエージェントであり、エッジ側でデータ収集を行い、別のティアに渡す機能を持つ。クラウド側にNiFiがあれば、データレイクに取り込んで機械学習を実行しAIを生成する。そして、エッジフローマネジャーによりMiNiFiにプッシュバックすれば、生成したAIをエッジにデプロイできる。NXPのように“インテリジェンス”を組み込めるわけだ」と説明する。

コネクテッドカーにおけるEDGE2AI
コネクテッドカーにおける「MiNiFi」と「NiFi」を用いたデータ収集や、「Data Science Workbench」を用いたAIの生成などのライフサイクルのイメージ(クリックで拡大) 出典:クラウデラ

 クラウド上でのAIの取り扱いについては、クラウデラで開発した「Data Science Workbench」が役立つ。「AI関連で最大の課題はデータ準備のプロセスにあるが、Data Science Workbenchを使えば課題解決につなげることができる。多くのパートナーとも連携し、AIのモデリングをより容易に進められるようにしていく」(サルティス氏)という。

 NXPなどが関わるコネクテッドカーの分野は、大手自動車メーカーはメガクラウドベンダーと提携を結んでおり、新生クラウデラと言えども割って入る余地がないようにも思える。しかしガー氏は、「当社のIoTやAIのアプリケーションは、マルチクラウドに対応しており、全く同一のソリューションをどのパブリッククラウドでも利用できる。柔軟性は高く、クラウドを選ばない。例えば三菱ふそうトラック・バスは、マイクロソフトの『Azure』をIaaSとしてを採用し、その上でクラウデラのアプリケーションを利用している。これこそ“ベストインクラス”と言っていいだろう」と述べる。

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