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内部監査を品質不正対応に活用するための実践的なアプローチ事例で学ぶ品質不正の課題と処方箋(4)(1/2 ページ)

品質不正は予防策が当然大切ですが、早期に発見して対応を図ることも必要になります。「発見」の代表的な担い手として、内部監査部門がその役割を果たすことが期待されます。本稿では、有効な品質監査を講じるために必要な方法論を解説します。

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はじめに

 品質不正は発生そのものを抑える予防策が当然大切ですが、それによって完全に予防することはできないため、早期に発見して対応を図る必要があります。

 「発見」の代表的な担い手として、内部監査部門がその役割を果たすことが期待されます。一方で、その構成員の多くは管理部門出身者であることから、品質に関連したテーマはリスクの有無に関わらず内部監査の対象から外されるケースが多く見受けられました。品質をテーマとした内部監査(以下、「品質監査」という)が実施できない大きな理由には、こうした人員構成面の問題があると考えられます。

 また、有効な監査を計画し実行するためには、適切なリスク評価を行うことが求められます。これは人員構成面での不安がある場合にはなおさら重要となります。リスクとその発生要因を整理した上で、それぞれの発生要因に対する対応状況を評価するといった観点で内部監査を計画し実行する、といったアプローチが有効です。

品質監査を可能にする体制面の強化策

内部に人材を求める場合

1. 他部署の人材をスカウトし、部員として受け入れる

 まず、内部監査部門として、製造部門、品質保証部門などから品質管理の知見やノウハウを持つ者をスカウトし、部員として受け入れることが考えられます。なお、外部に同様の人材を求めるといった方法もありますが、理想とする人材を監査要員として採用することは簡単ではないと想定されます。

  • メリット:専任者を置くことになるため、監査の対象範囲が広い場合においても、網羅的な監査を一定の品質で実施することが可能になります。また、内部監査の手法を学んだ担当者が再び出身部門などに戻れば、製造現場での品質リスク管理の推進役となることが期待できます
  • デメリット:増員された内部監査部員の人件費が追加で発生します。そのため、増員分に見合ったタスクがあることの事前確認が必須となります。また、優秀な人材ほど他部署から出してもうことが難しいことが想定され、スムーズな対応にはトップダウンの指示命令が必要になると考えられます

2. 他部署から一時的な派遣を受ける

 品質監査の実施にあわせて、製造部門、品質保証部門などから、一時的に品質管理の知見やノウハウを持つ者の派遣を受けることも一つの方法です。また、内部監査部門が監査を主導するのではなく、各工場から指名された監査人がある一定期間、相互に他の工場を監査すること(ピアレビュー)も考えられますが、紙面の都合上詳細は割愛します。

  • メリット:内部監査部門としては品質監査を実施するための追加の人件費を抑えられます。また、一時的な派遣であるため、他部署からの協力が得やすいことが挙げられます
  • デメリット:スポット的な起用であるため、監査対象とすべき拠点数が多い場合、網羅的な監査に時間がかかり、その間に品質リスクが顕在化する、もしくは緊急で品質監査を実施しなければならない機会が生じた場合に臨機応変に対応できないといった可能性があります。また、デメリットというほどではありませんが、監査調書や報告書の作成などは期待できません。そのため、経験のある内部監査人と協働で監査を実施することなどが必要になります

外部専門家を起用する場合

 品質リスク対応業務を提供するコンサルティングファームなどから支援を受けることもできます。

  • メリット:第三者的な視点で監査を受けることになるため、今まで認識されなかった欠陥が検出される可能性が高く、協働で監査を実施すればスキルトランスファーを受けられるといったことが考えられます。また、特定の人材を社内で抱える必要がないため、コスト的なメリットもあります
  • デメリット:使い方次第ですが監査対象とすべき拠点が多く、短期的に網羅的な監査を目指した場合には一時的ですがコスト負担が高まります

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