急伸する5GとセルラーIoTの世界市場、日本はそうでもない?:製造業IoT(1/2 ページ)
エリクソン・ジャパンが2019年6月に発表した「エリクソン・モビリティレポート」によると、5Gの導入が海外で進んでおり、2024年に88億となる全世界の携帯電話加入契約数の22%にあたる19億が5Gになると予測している。セルラーIoTについても、年率約27%で増加しており、2024年には41億個に達するという。
エリクソン・ジャパンは2019年7月16日、東京都内で会見を開き、同年6月に発表した「エリクソン・モビリティレポート」について説明した。同レポートでは、次世代携帯電話通信技術である5Gの導入が海外で進んでおり、2024年に88億となる全世界の携帯電話(モバイル)加入契約数の22%にあたる19億が5Gになると予測している。また、携帯電話回線を用いてIoT(モノのインターネット)を接続するセルラーIoTについては、年率約27%で増加しており、2024年には41億個に達するという。
LTEと比べて「5Gの立ち上がりはかなり早くなる」
方式別のモバイル加入契約数の予測では、2022年にLTEがピークを迎え、5Gの伸びもそこから加速する見通し。同社CTOの藤岡雅宣氏は「5Gの立ち上がりはかなり早くなるのではないか」と語る。また、第2世代に当たるGSMが減少する一方で、WCDMAなどの3Gの加入契約数は増減なしで推移するという。
セルラーIoTについては、LTEや5Gを用いるブロードバントIoTやクリティカルIoT、LTE-M(Cat.M)やNB-IoTといったセルラーLPWA(低消費電力広域)の両方が市場拡大を続ける。「2024年にはセルラーLPWAが全体の45%を占めるようになるだろう」(藤岡氏)。ただし、今回のセルラーIoTの市場予測には、工場などで利用される産業オートメーションIoTというカテゴリーが含まれていない。藤岡氏は「2023〜2024年ごろには、この産業オートメーションIoTも加わり、セルラーIoTの成長はさらに加速するだろう」と述べる。
なお、携帯電話通信規格の標準化団体である3GPPは、現在策定中のRelease 16において、LTE-MやNB-IoTといったセルラーLPWAの規格を、4.5GHz帯や28GHz帯などの新たな周波数帯(NR:New Radio)を用いる5G(5G NR)と共存させる取り組みを進めている。2020年3月にも内容が固まる予定だ。
2018年のセルラーIoTの市場が10億個だった。これに対して、SigfoxやLoRaWANなどの非セルラーIoTの市場は4億個だったとする。2024年におけるセルラーIoT市場の分野別内内訳は、鉱工業が約25%、自動車が約25%で、残りの約50%を船舶、公共事業、コンシューマー、金融などが占める。地域別内訳では、北東アジア、特に中国が圧倒的に多くなる見込みだ。
エリクソンのセルラーLPWAの採用事例でみると、米国ではLTE-M、中国ではNB-IoTが用いられていることが多い。特に中国は、スマートシティー関連での大規模なNB-IoT導入事例が目立っている。例えば、チャイナテレコム(China Telecom)は、2018年4〜6月期に数千万のNB-IoTデバイス導入のプロジェクトを実施している。「日本はNB-IoTにあまり積極的ではないが、これは通信速度の制限によりファームウェアアップデートに使えないことなどが理由になっているのではないか」(藤岡氏)という。
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