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IoTによる問題解決、求められるのは想像する力【後編】IoTのイノベーションは問題解決から(12)

今回は、前回に引き続き、「個別の状況に合わせた天気予報にするには(細かなエリアでの天気予測をするには)」に対し、技術進化も想定しながらIoTのソリューションで実現させることができるかを検証します。

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⇒連載「IoTのイノベーションは問題解決から」バックナンバー

 前編、後編にわたって、「個別の状況に合わせた天気予報にするには(細かなエリアでの天気予測をするには)」に対し、技術進化も想定しながらIoTのソリューションで実現させることができるかを検証しています。

 それでは、前編での宿題にしていた「天気予報の材料となる情報の品質を向上する」の解説をしたいと思います。

「個別の状況に合わせた天気予報にするには?」についてのこれまでの検討結果
「個別の状況に合わせた天気予報にするには?」についてのこれまでの検討結果(クリックで拡大)

天気予報の材料となる情報の品質を向上する

「天気予報に使用する情報源の数を圧倒的に増やす」をIoTで実現するには?

 最初に考えた結果、IoTでの実現は△でした。理由は、気象レーダーや各地の気象予報用のセンサー(温度計・風速計・雨量計など)を爆発的に増やすにはコストがかりすぎるから。

 しかし前回ご説明したように、IoTの普及に伴い至るところに高性能なセンサーが設置されていると考えると、わざわざコストをかけて天気予報専門の情報源を作らなくとも、膨大な情報を入手することができますので、ネックになっていたコスト面はクリアできそうですね。

 なので◎、というよりも、IT側の仕組みを開発するだけで済みそうですね。

「現在のセンサーの品質を上げて情報の精度を向上する」をIoTで実現するには?

 最初に考えた結果、IoTでの実現は×でした。理由は、品質向上自体が単なる技術向上だから。

 センサーの品質向上だけで考えると前回と同様に単なる技術向上であり、IoTとは別の話になりますが、存在する多数のセンサーを組み合わせることで情報の品質を上げる、ということであればIoTの世界に関わってきますね。今回は◎です。

「天気予報に使用する情報の種類を広げる」をIoTで実現するには?

 最初に考えた結果、IoTでの実現は△でした。理由は多様な情報を集めてもコンピュータの性能が追い付かないから。

 しかし、未来であればコンピュータの高性能化は間違いなく進んでいますので、これまでに述べたような手段から集まった、あらゆる情報で高度な分析ができそうですね。今回は◎です。

「天気予報の材料となる情報の品質を向上する」の新たな検討結果を追加
「天気予報の材料となる情報の品質を向上する」の新たな検討結果を追加(クリックで拡大)

 いかがでしょうか。近未来の技術進化を考えればソリューションの幅は大きく広がりそうですね。ここでは「急な天気の変化に困る」という悩みを起点に天気予報をテーマについて扱いましたが、何らかの悩みを同じステップで情報を整理していき、解決策にIoTをどう絡めるかという発想で問題解決を行けばさまざまなことに応用できるのがお分かりかと思います。

 ぜひ皆さんもこれまでにないような新しいアイデアを考えてみてください。慣れないうちはポンポン答えが出てくるということはないかもしれませんが、使っているのはテクニックであって才能ではないので、慣れれば誰にでもできるはずです。

 ところで、今回導き出したさまざまな解決策の多くから、未来の技術進化が“専用・単独”から“共用・共同”へのパラダイムシフトであることが分かります。

 これまで、ほとんどのサービスや製品はそれぞれが独立してニーズを満たしていました。例えば自動車は乗っている人・モノを目的地に送り届けるための手段だったわけですが、IoTの世界では自動車のさまざまなセンサーから取り込まれた情報が他の目的で活用されるようになってきます。渋滞状況の把握、安全な運転技術の確立、といった自動車に関連することはもちろん、車載カメラの情報を町の防犯に役立てることや、気温センサーから精密な温度分布マップを作製するなど、自動車が持つ情報を他で共用するような発想です。

 反対に、自動車が他のさまざまな情報を獲得して運転者に目的地の提案やお店の情報を伝えるようなことも情報を共用していますね。

 このような“共用・共同”は技術に限ったことではなく、今後の世の中のトレンドとなるのではないかと思います。



 次回は最終回として、この“専用・単独”から“共用・共同”へのパラダイムシフトも踏まえながら、アイデアを実現する方法についてお話しするとともに、イノベーションを起こす鍵である問題解決について総括したいと思います。

筆者プロフィール

株式会社VSN 馬場 秀樹

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2000年にVSNに入社。インフラエンジニアとしていくつものプロジェクトに参画。VSNの“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」の構想メンバーであり、一流コンサルタントより問題解決手法の教示を受け、多くの問題解決事案に携わる。派遣会社でありながら、担当した事案には、数億円規模の売り上げ向上につながった例も。

現在は、同社「経営イノベーション本部」にて今後の事業の根幹を担うVIをさらに加速させるべく、事業計画の立案や浸透・推進を行う。

株式会社VSN https://www.vsn.co.jp/


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