検索
特集

いまさら聞けないeSIM入門IoT基礎解説(3/4 ページ)

セルラー通信の進化や利用シーンの拡大に応じてさまざまなSIMが登場している。本稿では、SIMの中でも、最近話題となっている「eSIM」について、その概要や利点だけでなく、実際に製品に組み込むために必要な知識を紹介する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

チップ型SIMが必要とされるユースケース

 チップ型SIMは「サイズ」「耐環境性能」といった技術面において必要とされるケースがあります。

チップ型SIMは製品を小さくできる

 チップ型SIMは、カード型SIMの最小サイズである「nano SIM」の約半分のサイズで、これにより製品を小さく作ることが可能です。また、カード型SIMの場合はSIMコネクターモジュールも実装することになりますが、そのサイズはカード型SIMよりも必ず大きくなるため、最終的な製品サイズを小さくしたい場合にはチップ型SIMを選択する必要があるでしょう。

SIM形状の種類
SIM形状の種類(クリックで拡大)

 チップ型SIMのサイズを活用した製品の例としては、ADX.NETが米国やカナダ、東南アジアで展開している、ヘルスチェックを行うスマートウォッチがあります。スマートフォンなどを経由せず、腕時計単体でインターネットに接続するためにセルラー通信を搭載していますが、サイズを小さくする必要のある製品において、チップ型SIMの小ささは不可欠です。

ADX.NETのスマートウォッチ
ADX.NETのスマートウォッチ(クリックで拡大)

チップ型SIMは耐久性も抜群

 チップ型SIMは基板上に直接はんだ付けします。これにより振動と盗難に強くなります。また、温度耐性も高いため、自動車に搭載するような製品にもセルラー通信を導入できる可能性が広がります。もちろん、チップ型SIMだけでなく、セルラーモデムやMCU/CPUといったその他の部品についても同様の耐環境性能が必要となりますが、今までのカード型SIMでは諦めざるを得なかったようなシーンでも利用可能となり得ます。

カード型SIM チップ型SIM チップ型SIMのメリット
最小の形状 nanoサイズ:12.3×8.8mm(4FF) 6.0× 5.0mm(MFF2) 実装面積の節約
実装 取り外し可能 基板へ固定 盗難や不正利用の抑制、耐振動向上
温度耐性 −25〜70℃ −40〜105℃ 動作環境の拡大
メモリサイズ 64K〜128KB 500K〜2MB 多くの接続プロファイルや機能
書換耐性 10万サイクル/〜10年 50万サイクル/〜17年 長期の信頼性
暗号強度 3DES、AES、RSA 3DES、AES、RSA、ECC、SHA、HMAC 強固な暗号化
表 カード型SIMとチップ型SIMの比較

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る