ポイントは“腰の使い方”、東芝機械の双腕協働ロボットが生み出す可能性:東芝機械ソリューションフェア(1/2 ページ)
東芝機械は2019年5月23〜25日、「東芝機械グループ ソリューションフェア」(同社沼津工場および御殿場工場)を開催。新たに参考出展した2種類の双腕協働ロボットが大きな注目を集めた。
東芝機械は2019年5月23〜25日、「東芝機械グループ ソリューションフェア」(同社沼津工場および御殿場工場)を開催。新たに参考出展した2種類の双腕協働ロボットが大きな注目を集めた。
新たに双腕協働ロボットを参考出展
東芝機械が新たに参考出展したのは、双腕協働ロボット「RIDRS」シリーズである。「RIDRS」は「Robot Intelligence Dynamics Regeneration System」の意味する。
2種類あるうちヒト型双腕協働ロボットは、片腕7軸×2と腰軸の2軸で、合計16軸を持つ。アームと腰軸の屈曲旋回の同期制御を実現しており、高い自由度と精度を実現し、省スペースでの作業などが可能となる。可搬重量は片手6kg、両手で10kgを実現する。人に近い作業領域と可搬性能を実現している点が特徴である。顔部にカメラが付いており、外部カメラの認識なしに動作を行うことも可能だ。
もう1種類のスカラ型双腕協働ロボットは、双腕に旋回腰軸を加えたもの。ワークを持った腕の姿勢を変えずに腰軸で姿勢を変えられるため、複数トレイへのアクセスをはじめ教示の基準を変えずに行うことなどが可能となる。可搬重量は片手6kg、両手で10kgを実現。配線や配管をアームに内蔵しシンプルな構造を実現している。両モデルとも規制や規格などの審査などにより発売時期は未定としている。
ソフトウェアにはオープンソースソフトウェア(OSS)であるROS(Robot Operating System)を採用した他、手で動かして教示するダイレクトティーチングなどにも対応し、より幅広いユーザーが扱えるようにしている。
双腕型を採用した理由について「世界的な人手不足が広がる中で自動化へのニーズは世界中で高まっている。一方で、大量に同じモノを作るような場合は従来型のロボット生産ラインが適用できるが、エンドユーザーのニーズが多様化し、カスタム化への要望が高まる中で、生産ラインには柔軟性が重要なポイントとなる。そこで人が行っていた作業をそのまま置き換えられることから、双腕型協働ロボットを用意した」(説明員)としている。
ポイントは“腰の使い方”
双腕協働ロボットは既に競合企業が数多く製品投入しており、東芝機械は後発となるが、強みについて「1つは一般的な双腕型協働ロボットに対して、可搬質量が大きいという点が挙げられる。そしてもう1つは腰部が動くので可動範囲が広いという点がある」(説明員)としている。
人の作業の置き換えという観点で重要になるのが、この「腰部」が動くという点である。スカラ型の腰部は1軸で旋回するのみだが、ヒト型では腰部に2軸を使い旋回と傾きに対応する。これにより、腕の長さを必要以上に伸ばす必要なく、幅広い動きができるようになっている。「実際にセル生産などにおける人間の生産作業を考えると、腕が届くエリアだけで作業しているわけではなく、立ち位置や姿勢などを変えながら、最適に手の届く範囲を切り替えて柔軟に幅広い作業を行っている。腰部の自由度を高めることでこれらの同じスペースで動作範囲を広げられているのが特徴だ」と説明員は語っていた。
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